研究課題
S100β-v-erbB Tgラットの系統を維持しつつ、発生した脳腫瘍の検体ならびに遺伝子サンプルの蓄積を通して研究基盤の整備充実を進めた。現在までに32世代まで兄妹交配による継代をおこなっているが、表現型に特に大きな変化は認められず、優れた系統の脳腫瘍モデル動物であることが示されている。培養ラットミクログリア細胞の経静脈投与と放射線照射で有意な生存延長効果があることを見出し、脳腫瘍治療における免疫治療の有用性が示唆された。ラット脳腫瘍の解析の手掛かりを得るためにヒト脳腫瘍についても病理学的ならびに分子遺伝学的解析をおこなった。放射線誘発グリオーマの分子遺伝学的特徴は自然発症例とは異なることを明らかにした。小脳原発のHistone 3 K27M変異グリオーマの臨床病理学的特徴について明らかにした。BRAF変異とATRX変異が共存する腫瘍は悪性像を示しながら予後良好に推移することを見出し、新たな層別化の対象となりうることを示した。Epithelioid glioblastomaにおいてBRAF変異とTERT promoter変異が共存することを見出し、分子遺伝学的な指標となる可能性が示唆された。Atypical teratoid/rhabdoid tumor(AT/RT)は主として小脳に発生する小児の高悪性度腫瘍として知られているが、トルコ鞍部に発生する一群があることを示し、しかもそれらはすべて成人かつ女性に限定され、また小児例とは異なるINI1遺伝子の不活性化機序(compound heterozygous mutation)で発症するものが多くを占めることを見出した。転移性脳腫瘍の多くは腺癌で占められるが、原発腫瘍と比較して間葉系への分化を誘導する転写因子の発現が高いことを見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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