近年、インスリン抵抗性の改善が神経変性疾患の治療に有効であると考えられるようになってきた。我々は、抗糖尿病効果、抗炎症効果を持つアディポネクチン(APN)がシヌクレイノパチーの細胞・トランスジェニックマウスモデルにおいて治療効果を持つことを見い出した(Sekiyama, 2014)。しかしながら、剖検脳においては、APNはレビー小体やタングルに集積すること、さらに、アルツハイマー病においては血清のAPNは高値を呈することを観察した。これらの結果は、APNは神経変性疾患を保護するだけでなく、危険因子となる可能性を示唆するものであり、このような二面性を理解することが治療の鍵になると思われる。
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