研究課題/領域番号 |
25290028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
山内 淳司 独立行政法人国立成育医療研究センター, 薬剤治療研究部, 室長 (20335483)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミエリン形成 / ミエリン発生 / ミエリン形成の抑制 / ミエリン形成の促進 / シグナル伝達因子 / 創薬標的分子 / 創薬標的候補分子 / 治療標的候補分子 |
研究概要 |
本年度はインビトロ共培養システムを用いてミエリン形成を抑制するシグナル伝達分子を明らかにすることに重点をおく。その候補となる遺伝子群に関して 議論はあるものの、シュワン細胞は神経軸索がないと完全なミエリン膜を形成できないと考えられている。しかし、その過程の一部はシュワン細胞内でcAMP濃度を上昇させることで模倣できると考えられている。応募者らは、高純度に精製したラットのシュワン細胞に1 mMのジブチルcAMPを添加してミエリン膜に類似した膜構造を形成させ、その添加前後でトランスクリプトーム解析を行った。その結果、複数の遺伝子の増減が観察された(論文投稿準備中)。上昇する遺伝子群の多くはミエリン塩基性蛋白質(MBP)に代表されるミエリン膜構成蛋白質をコードしていたが、今回は低下する遺伝子に着目した。その理由は、これらの遺伝子がミエリン形成に抑制的に機能していると予想できるからである。膜形成誘導後に大きく低下する遺伝子は18個種類であった(厳密な数値補正後に-5.0倍以上のものをあげた。-2.5倍以上にすると、さらに50種類程度増える)。そのほとんどは機能未知のものであったが、そのドメイン構造からこれらの遺伝子の70%以上がシグナル伝達に関与する遺伝子である可能性が考えられた。インビトロ共培養システムに、これらの遺伝子群を導入し、ミエリン膜の形成を調べた結果、既存の報告がない複数のシグナル伝達因子が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1次スクリーニングから同定されたシグナル伝達因子のミエリン膜形成に関するインビトロにおける評価試験が成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
具体的にはまず候補遺伝子にmycなどのタグをコードする塩基配列を付加する。それをシュワン細胞株RT4-D6P2Tで発現させタグ抗体で免疫沈降後、結合する蛋白質の質量分析(MS)解析を行う。RT4-D6P2T細胞は株化細胞であるが、ジブチルcAMPによるミエリン様の膜の形成能力をもち、そのトランスクリプトーム解析でもmRNAの種類は初代シュワン細胞と約80%同じであることが分かっている(未発表データ)。実際、この方法でシュワン細胞に多く発現しているキナーゼの既知および新規結合分子を同定しており、それがシュワン細胞内でも機能していることを示している(宮本,応募者ら Cell.Signal.(2012))。そして、昨年度と同様に、これらの結合分子をシュワン細胞で特異的にノックダウンし、そのときにミエリン形成が促進されるかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
初期の計画に従って、インビトロスクリーニングが途中であること、および、遺伝子改変動物動物実験にも移行しつつあるが、まだ全部の実験が終了していないため、その支払いが途中であること、および、初年度の研究内容に関しての論文投稿とその質問に対する実験が1年間では間に合わなかったため。 インビトロスクリーニングに関する実験費および遺伝子改変動物実験への支払い、並びに、この研究内容に関しての論文校正およびその質問に対する実験消耗品に使用する。
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