研究課題
1)脳神経系特異的HP1欠損マウスの解析エピジェネティクス因子であるHP1の脳神経系における機能を明らかにするために,脳神経系特異的HP1欠損マウスの解析を進めた。抗うつ薬や抗不安薬の投与によりこのマウスのオープンフィールドなどでの低下活動性の改善を試みたが効果はなく,ドーパミン系の薬剤の効果を解析する予定であったが,平成26年12月に京都大学へ研究室を引っ越したので,27年度中にマウスの繁殖が間に合わずさらなる行動薬理学的実験はできなかった。そこでこのマウスの大脳皮質におけるモノアミンの濃度を測定したが,セロトニン系やドーパミン系に野生型マウスと有意な差は認められなかった。2)HP1欠損神経幹細胞の解析マウス個体を用いた解析だけでなく,HP1欠損マウスの胎仔脳から調製した神経幹細胞の解析を進めた。HP1欠損神経幹細胞は継代を経ると浮遊した細胞塊の形態を維持できず,シャーレに接着する性質があることをすでに見出していたが,野生型神経幹細胞との間でマイクロアレイ解析を行った。発現に違いが認めれた遺伝子の中から神経系で機能していると考えられる遺伝子に絞って定量RT-PCR解析を行ったところ,6個の遺伝子の発現がHP1欠損神経幹細胞で有意に亢進していた。そこでそれらの遺伝子のヒストン修飾の状態を解析したところ,5つの遺伝子でH3K27me3が低下していた。H3K27me3は抑制性マークなので,それが低下したために遺伝子発現が亢進した可能性が示唆される。これらの遺伝子のヒストン修飾とHP1をはじめてとするエピジェネティクス因子の結合を解析して,神経幹細胞の未分化/分化におけるHP1の機能を明らかにして,論文としてまとめる予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cancer Research
巻: 75 ページ: 1131-1321
10.1158/0008-5472.CAN-14-2796
http://www.anim.med.kyoto-u.ac.jp/research.htm