研究課題/領域番号 |
25290033
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 克彦 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20287486)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 原始卵胞 / 単一細胞遺伝子発現 / 次世代シークエンサー |
研究概要 |
減数分裂特異的レポーターES/iPS細胞の樹立:減数分裂特異的レポーターはRec8とStra8の下流に蛍光タンパク質をコードする遺伝子を導入した。計画書ではBACを用いることになっていたが、遺伝子発現の特異性を考慮してノックインを行うことにした。現在までにノックインコンストラクトの構築を終え、細胞に導入している。 原始卵胞の遺伝子発現プロファイリング:原始卵胞の構成細胞の単一細胞レベルでの遺伝子発現プロファイリングを行うために、微量サンプル(1細胞)からのcDNA合成・合成のための条件を検討した。まずは比較的調整のしやすい胎仔の生殖巣の細胞を酵素処理により解離し、cDNAの合成・増幅に供した。実験開始当初は増幅したcDNAの平均長が次世代シークエンスで解析するために必要な長さに達していなかった。その後の条件検討により平均長は理想よりもやや短いものの、解析に使用できると考えられる質のcDNAライブラリーを得た。 次に実際に原始卵胞の遺伝子発現をプロファイリングするために、生後8日目の卵巣より原始卵胞を採取するための条件を検討した。酵素処理の条件検討により原始卵胞(卵母細胞と顆粒膜細胞の複合体)を単離する条件を決定し、さらに原始卵胞を卵母細胞と顆粒膜細胞に分離する酵素処理の条件を決定した。得られたそれぞれの単一細胞からcDNAを合成・増幅した。これまでおおよそ卵母細胞20個程度、顆粒膜細胞30個程度からcDNAライブラリーを調整した。 現在、原始卵胞より得られたそれぞれのcDNAライブラリーに次世代シークエンサーの解析に用いるためにバーコード標識を順次行っている。このバーコード標識は一度に多くのサンプルをシークエンサーで処理するために必要である。これらのバーコード付加処理が終了した時点でシークエンス解析による遺伝子発現プロファイリングを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までに研究は概ね順調に進展しているが、コンストラクトの構築および単一細胞からのcDNA合成・増幅の条件検討等にやや時間がかかっている。特に単一細胞からのcDNAの合成・増幅は微量サンプルからの調整のため安定的な結果を得るためには、技術的に困難な部分を多く含む。また良質のcDNAを得られる確率は30-50%程度であり、これまでのところ過剰数のサンプルを調整して、その中から良質のものを選ぶことにしている。そのため当初の予定よりも多くのサンプルの調整の試みを行っている。 また研究代表者が京都大学より九州大学に異動となったために、京都大学での作業を一次中断しなければならなくなった。九州大学での研究室の立ち上げやサンプルの移管に当初の研究計画にはない時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
九州大学の細胞培養のシステムを早急に立ち上げ、ノックインES細胞の樹立を急ぎ、それらを用いて始原生殖細胞様細胞の誘導と胎仔生殖巣との培養系の開発を行う。 卵巣の原始卵胞からの単一細胞cDNAのライブラリーの調整は京都大学と共同で継続して行い、シークエンス解析までを行う。これまでに確立した方法を九州大学でも踏襲し、新しいサンプル(体外培養で得られた原始卵胞)遺伝子発現の解析を急ぐ。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が平成26年4月より九州大学医学研究院に転出することが決定したために、一部の物品の購入は輸送コスト等を削減するために平成26年度に延期した。さらに人件費についても採用場所が変更するために、京都大学での採用を見送り、あらためて平成26年度から使用することにした。 平成25年度購入予定であった物品の一部を平成26年度に九州大学において購入する。また当該研究計画の遂行を補助する事務補助員の雇用に人件費を充てる。
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