研究課題
本研究の目的は交付申請書にあるように、「マウス多能性幹細胞(ES/iPS細胞)から誘導した始原生殖細胞から機能的な原始卵胞を効率よく分化させる完全体外培養法の確立を行い、始原生殖細胞の増殖、減数分裂への移行と原始卵胞形成のメカニズムを解明するためのモデルを構築する。さらには将来的に卵子までの完全体外培養系の確立への基盤を提供する。」ことであった。本研究期間に我々は始原生殖細胞から機能的な卵子を分化培養する体外卵子産生系を構築した。この培養方法では始原生殖細胞から卵子ができるまでの5週間を3つの培養期間に区切り、様々な基礎培地、血清濃度、成長因子、有機化合物などの組み合わせを変えることにより、効率的に多能性幹細胞から卵子を産生できる。この方法で作製されたES/iPS細胞由来の卵子は野生型の雄マウスの精子と受精させることにより、健常なマウスに発生した。この卵子産生培養システム内における卵子形成過程の遺伝子発現の変動は体内の卵子形成過程と良く似ていた。これらのことから本培養系が卵子形成メカニズムを解明する上で有用なモデルであると考えられる。また興味深いことに体外の培養系では原始卵胞で留まる期間は極めて短く(もしくは省略され)、すべての卵母細胞が成熟に向かうことが明らかとなった。本研究では体内と体外における卵母細胞の分化過程の相違を詳細に解析し、原始卵胞の確立に重要だと思われる転写因子を複数単離した。これらの遺伝子の機能解析は、原始卵胞の維持機構の解明に大きく貢献すると思われる。これらのことから本研究期間中に目的をほぼ達成したと考えている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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