研究課題/領域番号 |
25290038
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
米川 博通 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 特任研究員 (30142110)
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研究分担者 |
吉川 欣亮 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, プロジェクトリーダー (20280787)
設楽 浩志 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 主任基盤技術研究職員 (90321885)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 毒素受容体 / ジフテリア毒素 / 組織特異的プロモーター / トランスジェニックマウス / 蛍光蛋白 / Cre/loxP |
研究実績の概要 |
TRECK法は、「組織特異的プロモーターにヒト由来のジフテリア毒素受容体(hDTR)のcDNAを連結したベクターを構築後、Tgマウスを作製し、そのTgマウスが成長した後の任意の時期にジフテリア毒素を投与することによって、hDTRを発現している細胞を標的として、体内から除去する」方法である。この方法は特異性が非常に高いため、DT投与後のマウスの表現型を観察することによって、その標的細胞(群)の生体内での機能を解析することができる非常に有用な方法である。我々はこれまで、この方法により糖尿病を含む6系統以上のヒト疾患モデルマウスを作製してきた。しかしながら、近年発展が著しい神経系疾患に対するモデルマウスを作製することにこれまで成功していない。そこで、本計画では神経系疾患に対するマウスモデルの作製に着手した。 中枢神経系には神経細胞の他にグリア細胞、その他の細胞が複雑に絡み合って存在するため、最終的に標的となるhDTR発現細胞とその前駆体細胞を蛍光蛋白により染め分ける方法を考案・選択した。それと共に特異性を高めるために、通常のプラスミドを使用したプロモーター断片の他、recombineeringによるin vitro BAC改変法を用いて、厳密な組織特異性を有するTRECK法の確立も目指した。現在、前者の目的のためのベクター構築はほぼ完成し、特異性の高いプロモーターの連結を行なっており、この作業が終了し次第、Tgマウスの作製に着手の予定である。一方、in vitro BAC改変法については、ベクターのDNA鎖が4.5kb以上と長いため、目的の改変BACをうまく樹立できないでいる。最終年度にあたる今年度は、Tgマウスの樹立、in vitro BAC改変法の開発を重点的に進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、最も困難であった複数種類の蛍光蛋白質遺伝子を有するTRECKベクターの構築が完了したこと、組織特異的プロモーター断片との連結が順調に進んでいること、から標記の区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
計画を大幅に変更するような事態はないため、これまでの方針を続けて進めて行く。 ただし、当初の研究計画で予定していたin vitro BAC改変法が、挿入すべきDNA断片が巨大なため、成功を見ていない。 このin vitro BAC改変法も、Tgマウスの作製と共に鋭意進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度、マウスの飼育にかかる経費(飼育費)を予定していたが、Tgマウスが作製途中のため、その費用がかからなかった。そのため、使用額に若干の差異が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、Tgマウスが少なくても2系統作製予定であり、またそのTgマウスと既存のTgマウスを交配してダブルTgマウスを作製する予定である。そのため、前年度未使用額と今年度の使用予定額を合算し、その費用に使用する予定である。
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