研究課題
TRECK法は、「組織特異的プロモーターにヒト由来のジフテリア毒素受容体(hDTR)のcDNAを連結したベクターを構築後、そのベクターを用いてTgマウスを作成し、そのマウスの成長後の任意の時期にジフテリア毒素(DT)を投与することにより、hDTRを発現している細胞をマウス体内から特異的に除去する」方法である。この方法は特異性が極めて高いため、DT投与後のマウスの表現型を観察することによって、その標的細胞(群)の生体内での機能を解析できる優れた方法である。我々はこれまで、I型糖尿病を含む6系統のマウスをヒト疾患モデルとして作製してきた(欧文総説準備中)。しかし、近年発展が著しい神経系疾患に対するマウスモデルは未着手であったため、本計画ではそれに着手することにした。中枢神経系には、神経細胞の他にグリア細胞など多種類の支持細胞が存在するため、最終的に標的となるhDTR発現細胞とその前駆細胞を蛍光蛋白により染め分ける方法を考案し、研究を進めた。当初は、組織特性の厳密性を高めるため、in vitro BAC改変法を用いる予定であったが、改変のために用いるDNA組換え体が4.5kbpと長いため、本方法の応用が困難であるため、これまで成功しているプロモーター断片を用いることにした。ベクターの構築には成功し、NIH3T3を用いたin vitroの発現と分染実験にも成功した。このベクターを用いてTgマウスを作製したところ、トランスジーンの発現は見られたものの、蛍光蛋白の発現が見られないため、現在ベクターの検討を行なっている。
4: 遅れている
ベクターの構築は完成し、NIN3T3マウス培養細胞を用いた、発現実験、蛍光蛋白による分染実験にも成功した。しかし、肝心の本ベクターを用いたTgマウスの作製において、トランスジーンの確認により、Tgマウスは樹立できたが、蛍光蛋白の発現が見られなかった。現在、その原因を調査すると共に、新たなるベクターの構築を行なっている。
当初の目的を達成するには、上記理由で述べたベクターによる蛍光蛋白が発現しているTgマウスを獲得することが必須である。そのため、その原因調査と、新たに構築したベクターによる「蛍光蛋白が発現する」Tgマウスの獲得が必須である。そのため、1年間の期間延長を願い、上記の研究を鋭意続行している。
研究が計画通り進捗しなかったため、次年度への期間延長を申請し承認された。残余金は平成28年度の研究に使用する。
新たなるDNA組換え体の作製とTgマウス作製のために使用する予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 備考 (1件)
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