研究課題
TRECK法は「組織特異的プロモーターにヒト由来のジフテリア毒素受容体(hDTR)のcDNAを連結したベクターを構築後、そのベクターを用いてトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、そのマウスが成長した後の任意の時期にジフテリア毒素(DT)を投与することにより、hDTRを発現している細胞(群)を生きているマウス個体から特異的に除去する」方法である。このことによって、その標的細胞の生きた個体内での機能を解析できる優れた方法である。我々はこれまで、I型糖尿病を含む6系統のマウスをヒト疾患モデルとして作製してきた(欧文総説論文作製中)。しかし、近年発展が著しい神経系疾患に対するモデルは未着手であったことと、特異性の低い組織特異的プロモーターにも本方法を応用可能とすることを目的とし、本計画を実施した。神経系には、神経細胞をはじめとしグリア細胞など多種類の支持細胞が存在するため、最終的に標的となるhDTR発現細胞とそれらに関連する細胞とを識別するため、異なった蛍光タンパク質を用いたTRECK法を考案し、最終的に標的細胞の識別と、DTによるその標的細胞の除去、そしてその除去による表現型の変化を観察することにした。まず、このベクターが細胞で機能することを確認するため、2種類の培養細胞を利用して発現実験を行なった。その結果、培養細胞での発現には成功した。そこで、このベクターを用いて、神経特異的プロモーターを用いてTgマウスを作製し、発現解析を行なった。その結果、Tgマウスは数系統得られたものの、そのうちのどの系統にも蛍光色素の発現は見られなかった。現在、神経特異的プロモーターの種類を変えて、Tgマウスの作製を行なっているほか、同一のベクターを用いて、ノックインマウスの作製を行なっており、その作製に成功し発現を確認中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件)
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