研究実績の概要 |
ヒト卵巣癌細胞の親株とVASH2ノックダウン細胞を比較したところ、VASH2ノックダウン細胞では敷石状のコロニーを形成してE-cadherinの発現が増強し、ZEB2, SNAI2, TWIST1の発現は顕著に低下、さらに細胞浸潤能の有意に低下した。胃癌を自然発症するGanマウスとGan・Vash2(-/-)マウスについて胃癌組織を比較したところ、Gan・Vash2(-/-)マウスでは胃癌の発生・発育および胃癌細胞のKi-67陽性率は顕著に抑制されており、癌間質では血管新生が抑制されるとともに、αSMA陽性のがん随伴線維芽細胞(cancer associated fibroblast:CAF)の数が顕著に低下していた。以上より、VASH2はがん細胞にオートクリン的に作用して上皮間葉転換を惹起すると共に、がん間質に対してパラクリン的に作用して腫瘍血管新生やCAFの増勢を促進するなど、多彩な作用を発揮してがん進展を促進することが明らかとなった。 His-VASH2カラムを作成し、正常組織では脳にVASH2が比較的発現していることからマウス脳抽出物をapply、pull down法によりそれぞれのカラムに結合する蛋白を単離し、MS解析で蛋白を同定して、VASH2のいずれにも結合する複数の膜蛋白をVASH受容体の候補として選出した。
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