研究課題
低分子量 GTP 結合蛋白質Ral が種々のがんの浸潤・転移に重要な働きをしている報告が相次いでいる。 Ral の抑制性制御因子RalGAPを我々は世界に先駆けて同定した(JBC, 2009)。RalGAPの発現低下が膀胱癌の浸潤・転移に密接に関わっていることを最近報告し(Oncogene, 2013)、さらに、その原因について、転写因子およびエピジェネティクスの側面より追求してきた。悪生型膀胱癌細胞株では、DNAメチル化の亢進がRalGAPの発現低下の原因となっているようである。現在、さらに研究を進めている。また、Ral結合リン酸化酵素を同定し、現在解析中である。さらに、前立腺癌の進展におけるRalおよびRalGAPの役割について共同研究を進めている。また、炎症性腸疾患モデル、炎症関連大腸癌モデルにおいてもRalの活性化は、その症状に大きく影響しているようであり、論文化に向けて研究を進めている。平成26年度にはFLOXシステムによるRalGAPコンディショナル遺伝子破壊マウスを導入し得た、現在、順調に増殖しており、今後はこのマウスを用いて、個体レベルでralおよびRalGAPの癌化・癌悪性化における役割を個体レベルで明らかにしていきたい。また、本研究で準備したRal関連の遺伝子等を用いて、予後不良の循環器系疾患、慢性肺血栓塞栓性肺高血圧症の血小板においてRalが活性化していることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
概要に記載したように研究はおおむね順調に進んでいる。平成26年度にはRalGAPコンディショナルKOマウスを導入することができ、来年度にはこのマウスを用いて、癌化、癌進展に対するRalGAPの役割を明らかにしたい。また、現在、炎症性大腸炎、炎症性大腸癌モデルを用いた解析が順調に進んでいる。
現状の研究を続けるとともに、来年度にはこのマウスを用いて、癌化、癌進展に対するRalGAPの役割を明らかにする。また、現在、炎症性大腸炎、炎症性大腸癌モデルを用いた解析が順調に進んでいるが、導入したRalGAPコンディショナルKOマウスを用いて研究をさらに進め、完成させる。
遺伝子破壊マウスの解析等、平成27年度に、集中して予算が必要となる可能性が出てきたため、節約して用いたため。
すべての予算を用いて、遺伝子破壊マウスの解析等を集中的に進める。
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J Biochem (tokyo)
巻: in press ページ: in press
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http://www2.idac.tohoku.ac.jp/dep/mcb/