研究実績の概要 |
低分子量GTP結合蛋白質Ralが種々のがんの浸潤・転移に重要な働きをしている報告が相次いでいる。Ralの抑制性制御因子RalGAPは我々が世界に先駆けて同定し(J Biol Chem, 2009)、さらにRalGAPの発現低下が膀胱癌の浸潤・転移に密接に関わっていることを最近報告した(Oncogene, 2012)。本研究ではこれまでのRalおよびRalGAPに関する研究を発展させるべき、研究を進めた。抗アポトーシスに重要なRalBに対して、RalAは形質転換に重要であるが、我々はRalA特異的に結合するキナーゼを見いだし、現在解析中である。また、悪性膀胱がんでのRalGAP発現低下の一因は、CpGアイランドのDNAメチル化であることを見出し、現在、さらに解析を進めている。また、我々の発見したRalGAPに重点を置いたralの関する総説(5.R. Shirakawa*, H. Horiuchi (2015) Ral GTPases: Crucial mediators of exocytosis and tumorigenesis. (a review) J Biochem (Tokyo) 157, 285-299)を誌上発表した。なお、昨年導入できた RalGAPコンディショナルKOマウスは、順調に生育しており、今後組織特異的遺伝子KOマウスを作成し、RalおよびRalGAPの個体レベルでの役割を解明すべく、研究を進めていく計画である。
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