• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

老化細胞が分泌する発癌促進因子の解析

研究課題

研究課題/領域番号 25290046
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

高橋 暁子  公益財団法人がん研究会, その他部局等, 研究員 (60380052)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード細胞老化 / がん抑制機構 / SASP
研究実績の概要

前年度までに、ヒト正常線維芽細胞株(TIG-3, Hs68, IMR90)、ヒト正常上皮細胞株(RPE, NHEK, NHEM)、マウス正常線維芽細胞株(MEF)を継代培養するか、もしくは活性化型Rasの過剰発現やDNA損傷ストレス(X線照射)によって細胞老化を誘導し、48時間培養した上清を回収し、超遠心法でエクソソームを分離後に、NanoSightを用いてサンプルの粒子径を測定すると同時に、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行いエクソソームが回収されていることを確認した。その結果、細胞老化をおこした細胞では、1細胞あたりのエクソソームの分泌量が増加していることが明らかとなった。さらに単離した分泌膜小胞を、CD63抗体を用いた免疫電子顕微鏡法による観察を行い、エクソソームマーカー蛋白を発現していることを確認した。
次に、上記の方法で回収したエクソソームサンプルをMS法により解析し、細胞老化の誘導前後でエクソソームに含まれる蛋白質がどのように変化するのかを明らかにした。そして、老化した細胞から分泌されるエクソソームに特異的に増加している蛋白を同定し、その蛋白がエクソソーム含まれてがん細胞に取り込まれることでがん細胞の細胞活性に影響を与えることを明らかにした。shRNAを用いてその蛋白のmRNAをノックダウンした細胞から回収したエクソソームではそのような活性を示さなかったことから、老化細胞が周囲の細胞の形質を変化させる原因因子であることが示唆された。現在は詳細な分子メカニズムについてさらなる解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は老化細胞から分泌されたエクソソームで特異的に発現量が増加している因子に着目し、その機能の解析を行い、成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

昨年度までの研究で、細胞老化によってエクソソームの分泌量が亢進することが明らかとなったので、その分子機構を明らかにするためにエクソソームの生合成や分泌に関わる因子のスクリーニングを行う。
そして本年度明らかにした老化細胞が分泌する発がん促進因子の作用機序について、詳細な解析を行う。
また、若いマウスと老化したマウスの血清を回収し、エクソソームを単離しその含有量や含有因子(蛋白や核酸)の解析を行う。さらに分子メカニズムの解析を行うために、若いマウスと老化したマウスから皮膚上皮細胞を単離培養し、エクソソーム分泌量の変化とその内容物の変化について解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 細胞老化と発がん制御2014

    • 著者名/発表者名
      高橋暁子
    • 雑誌名

      最新医学

      巻: 132 ページ: 1216-1219

  • [雑誌論文] 細胞老化の分子機構と発がん制御における役割2014

    • 著者名/発表者名
      高橋暁子、今井良紀、原 英二
    • 雑誌名

      がん分子標的治療

      巻: 12 ページ: 78-81

  • [雑誌論文] Crosstalk between the Rb Pathway and AKT Signaling Forms a Quiescence-Senescence Switch.2014

    • 著者名/発表者名
      Imai Y, Takahashi A, Hanyu A, Hori S, Sato S, Naka K, Hirao A, Ohtani N, Hara E
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 7 ページ: 194-207

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2014.03.006.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The roles of cellular senescence in aging and cancer2014

    • 著者名/発表者名
      Akiko Takahashi, Eiji hara
    • 学会等名
      第33回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-11-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 細胞老化に伴い発現上昇するレトロエレメントの染色体不安定性への関与2014

    • 著者名/発表者名
      今井 良紀, 高橋 暁子, 清宮 啓之, 大谷 直子, 原 英二
    • 学会等名
      第73回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2014-09-27
  • [学会発表] 細胞老化による発癌促進機構について2014

    • 著者名/発表者名
      高橋暁子
    • 学会等名
      第7回SYMPHONY
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-14 – 2014-09-15
  • [学会発表] フォークヘッド転写因子による細胞運命決定機構2014

    • 著者名/発表者名
      今井 良紀, 高橋 暁子, 原 英二
    • 学会等名
      第2回がんと代謝研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-07-10 – 2014-07-11
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi