研究課題/領域番号 |
25290047
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
菅村 和夫 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (20117360)
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研究分担者 |
佐々木 治 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (40538055)
井根 省二 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (80573683)
山口 壹範 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (80373215)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 成人T細胞白血病 / HTLV-1 |
研究実績の概要 |
白血病の悪性形質転換に関与する遺伝子を同定するため、NOGマウスにおける造腫瘍能を指標に複数の株化白血病細胞株より高造腫瘍能細胞集団を分画した。この細胞集団は細胞数10個以下でも腫瘍を形成することから、白血病幹細胞として悪性形質の維持に関与するものと推測された。この細胞集団で発現が変動している遺伝子をマイクロアレイにより網羅的に調べ、さらに変動が顕著であった遺伝子に関して、その過剰発現/発現抑制が造腫瘍能に対して与える影響を調べた。これまでに2つの遺伝子(CADM1、CA9)が造腫瘍能に関与する遺伝子としてリストアップされた。 このうちCADM1に関しては低発現細胞集団で造腫瘍能が高い。その原因としてJAK/STAT系が異常亢進している事が考えられた。 CA9に関しては高発現細胞集団で造腫瘍能が高い。その臨床的意義を確認するため、ATL患者末梢血検体を対象に血清中の遊離CA9をELISAで測定したところ、正常血清に比べ遊離CA9濃度が有意に上昇している事が示された。また、一部のATL浸潤症例ではATL細胞でCA9発現が上昇していることが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白血病の悪性形質に関与する遺伝子として、2つの候補遺伝子(CADM1、CA9)を同定することができ、これらの機能解析を通して悪性形質転換機構の解明を進めることが可能と考えている。またCA9の発現異常に関しては今年度の研究から臨床的意義が強く示唆された。阻害剤を用いてCA9を標的とした治療が可能であるか、今後の臨床応用研究展開への足がかりが得られたものと考えている。 一方でライブラリースクリーニングによる悪性形質関連遺伝子の同定は十分な結果が得られておらず、研究方法の再考が必要と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)今年度同定された2つの遺伝子の悪性形質転換/維持における機能を解明する。標的となるシグナル伝達系を過剰発現/発現抑制により同定する。 2)これら遺伝子の発現調節機構を明らかにする。転写調節に関与するプロモーター領域、転写後調節に働くmicroRNAの同定とその調節機構を解明する。 3)悪性形質転換関連遺伝子の同定のため、トランスポゾンあるいはCRISPR/Cas9のrandom integrationを応用したスクリーニング系を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ライブラリースクリーニングによる新規白血病モデル細胞の作出に至らず、その性状解析のために計上した予算を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
ライブラリースクリーニングに代わり、トランスポゾンまたはCRISPR/Cas9システムを応用したrandom integrationによるスクリーニング系を構築するために使用する。
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