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2014 年度 実績報告書

がん細胞のエピゲノムリプログラミングに関わる調節機構とその制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25290048
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

近藤 豊  名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00419897)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードエピゲノム / 非翻訳RNA / がん幹細胞
研究実績の概要

がんの“組織多様性”の形成には、がん周囲環境からのシグナルによって調節される可塑的なエピゲノムが深く関与していると推測されるが、その詳細な分子機構についてはほとんど解明されていない。本年度は、1、細胞外シグナルにより制御されるエピゲノム関連タンパクの変化、2、非翻訳RNAによるエピゲノム修飾タンパク複合体の特定遺伝子部位へのリクルートについて研究を行った。1、については、メチル化酵素が細胞内で形態を変え、細胞内局在および機能に影響を与えることを見出した。2、については非翻訳RNA、TUG1によるエピゲノム修飾タンパク複合体の特定遺伝子部位へのリクルート機構については、NotchシグナルによりTUG1の発現制御、およびTUG1とmiR-145と相互作用についてより詳細な解析を行なった。特にTUG1の脳腫瘍のニッチで高発現しており、がん細胞の幹細胞性の維持に関わることを見出した。さらにTUG1は有効ながん治療の標的候補となることを動物実験から明らかにした。また腫瘍発生MADMマウスモデル (Mosaic Analysis with Double Markers, MADM)の構築を終了し、解析を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、外部シグナルによる脳がん幹細胞のエピゲノム制御機構の解明を目指して、1、細胞外シグナルにより制御されるエピゲノム関連タンパクの翻訳後修飾(化学修飾)、2、翻訳後修飾によるエピゲノム修飾酵素の生物学的活性の調節、3、非翻訳RNAによるエピゲノム修飾タンパク複合体の特定遺伝子部位へのリクルートについて研究を行っている。1、2、についてはメチル化酵素が細胞核に移動する機序について明らかにしつつある。また翻訳後修飾による細胞内での新たな機能について明らかにしつつある。3、非翻訳RNAによるエピゲノム修飾タンパク複合体の特定遺伝子部位へのリクルートについては実験がほぼ終了し投稿を終えた。さらにMADMマウスの作製を終了し解析を開始している。現在までに研究目標に対して若干ではあるが予定よりやや早く達成しつつある。

今後の研究の推進方策

平成26年度の結果を踏まえ、本研究課題のテーマの一つである、「細胞外シグナルにより制御されるエピジェネティック機序の解明とそれを標的としたエピゲノムの人為的制御」を実施する。具体的には、1、TUG1に対する核酸創薬の開発、2、メチル化酵素の切断点の制御に関わる機序の解明を行う。すなわち1、がん幹細胞をNOD-scidマウスの脳に移植し、TUG1に対するsiRNAを用いた核酸創薬(siRNA-TUG1)のin vivoでの効果を検証しそ有用性を確立する。MADMマウスを用いた、発がん過程におけるがん細胞特異的エピゲノム修飾異常の誘導機序について解析を進める。2、メチル化酵素のリン酸化修飾に関わるキナーゼの同定を行なう。メチル化酵素の細胞内で切断に関わるキナーゼを検索するために、GFP-HMT-RFPベクターをがん幹細胞やがん細胞に導入し、蛍光顕微鏡によりTruncated typeの有無を解析可能な系(検出系)を確立しつつある。ヒトキナーゼ710種類に対するsiRNAライブラリー(既に準備済み)を上記検出系に用い、メチル化酵素のリン酸化に関わるキナーゼの同定を行う。

次年度使用額が生じた理由

非翻訳RNAの解析について、効率的に研究が推進でき予想よりも試薬を節約できたため。

次年度使用額の使用計画

今年度は加速度的に研究を推進する。研究計画のうち特にメチル化酵素の翻訳後修飾に関わるタンパク質の機能解析を中心に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件) 図書 (8件)

  • [雑誌論文] Long-term pancreatic beta cell exposure to high levels of glucose but not palmitate induces DNA methylation within the insulin gene promoter and represses transcriptional activity.2015

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa K, Tsunekawa S, Ikeniwa M, Izumoto T, Iida A, Ogata H, Uenishi E, Seino Y, Ozaki N, Sugimura Y, Hamada Y, Kuroda A, Shinjo K, Kondo Y, Oiso Y.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0115350

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0115350

    • 査読あり
  • [雑誌論文] miR-615-5p is epigenetically inactivated and functions as a tumor suppressor in pancreatic ductal adenocarcinoma.2015

    • 著者名/発表者名
      Gao W, Gu Y, Li Z, Cai H, Peng Q, Tu M, Kondo Y, Shinjo K, Zhu Y, Zhang J, Sekido Y, Han B, Qian Z, Miao Y.
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 34 ページ: 1629-40

    • DOI

      10.1038/onc.2014.101

    • 査読あり
  • [学会発表] がんエピゲノム異常を標的とした治療・診断法の開発2015

    • 著者名/発表者名
      近藤 豊
    • 学会等名
      第3回 国際先端生物学・医学・工学会議
    • 発表場所
      名古屋大学豊田講堂シンポジオン(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-01-16
    • 招待講演
  • [学会発表] A study of novel DNA methylation biomarkers and assays to detect circulating tumor DNA.2014

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y.
    • 学会等名
      The 19th Japan-Korea Cancer Research Workshop
    • 発表場所
      Hyatt Regency Jeju (Jeju, Korea)
    • 年月日
      2014-11-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 細胞外環境による脳腫瘍幹細胞のエピジェネティック制御2014

    • 著者名/発表者名
      近藤 豊
    • 学会等名
      第73回 日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-25
  • [学会発表] Long Non-coding RNA Regulation of the Epigenome in Glioblastoma.2014

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y.
    • 学会等名
      EPIGENETICS IN DEVELOPMENT & DISEASES 9TH ASIAN EPIGENOMICS MEETING
    • 発表場所
      Matrix (Biopolis, Singapore)
    • 年月日
      2014-08-25
    • 招待講演
  • [学会発表] エピジェネティクスによるがん細胞の動的・特異的制御2014

    • 著者名/発表者名
      近藤 豊
    • 学会等名
      第2回 Aging, Bone and Cancer Frontline Forum
    • 発表場所
      山の上ホテル(東京都千代田区)
    • 年月日
      2014-05-08
    • 招待講演
  • [学会発表] Glioma stem cells maintained by notch-epigenetic pathway.2014

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y.
    • 学会等名
      2014 SNUCRI Cancer Symposium
    • 発表場所
      Hotel Hyundai in Mokpo (Mokpo, Korea)
    • 年月日
      2014-04-17
    • 招待講演
  • [学会発表] New technology to detect DNA methylation in plasma sample from lung cancer patients.2014

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y.
    • 学会等名
      American Association for Cancer Research ANNUAL MEETING 2014
    • 発表場所
      San Diego Convention Center (San Diego, USA)
    • 年月日
      2014-04-06
  • [図書] Frontiers in Gastroenterology2015

    • 著者名/発表者名
      新城恵子、近藤 豊
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      株式会社 メディカルレビュー社
  • [図書] Cancer Science2014

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y, Katsushima K, Ohka F, Natsume A, Shinjo K.
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      The official journal of the Japanese Cancer Association
  • [図書] エピジェネティクスの産業応用2014

    • 著者名/発表者名
      勝島啓佑、近藤 豊
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      株式会社 シーエムシー出版
  • [図書] 医学のあゆみ がんゲノム研究の進歩-網羅的解析からの知見2014

    • 著者名/発表者名
      大岡史治、近藤 豊
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      医歯薬出版 株式会社
  • [図書] 実験医学増刊 個別化医療を拓くがんゲノム研究 解き明かされるがんの本質と分子診断・治療応用への展開2014

    • 著者名/発表者名
      近藤 豊
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      株式会社 羊土社
  • [図書] NEUROLOGICAL SURGERY 脳神経外科2014

    • 著者名/発表者名
      出口彰一、近藤 豊、夏目敦至
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      株式会社 医学書院
  • [図書] THE JOURNAL OF BIOCHEMISTRY2014

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y.
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      OXFORD JOURNALS
  • [図書] 実験医学 特集 原因か?結果か?がんのエピゲノム異常 環境因子による発がんメカニズムの理解からエピゲノム創薬へ2014

    • 著者名/発表者名
      市村典久、近藤 豊
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      株式会社 羊土社

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公開日: 2016-06-01  

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