研究課題
がんの“組織多様性”の形成には、がん周囲環境からのシグナルによって調節される可塑的なエピゲノムが深く関与していると推測されるが、その詳細な分子機構についてはほとんど解明されていない。本年度は、1) 細胞外シグナルにより制御されるエピゲノム関連タンパク質の解析、2) 非翻訳RNAによるがん細胞内エピゲノムの制御に焦点を絞り、がんの形質変化に関わる、特異的なエピゲノム修飾の分子機構の解明を試みた。さらに、3) その分子基盤を標的とした新しいがんの治療法の確立を行った。1) がん幹細胞の維持に必須と報告されているNotchシグナルに着目した。その阻害により発現が低下する長鎖非翻訳RNA、TUG1を同定し、TUG1とPRC2およびDNA結合タンパク質YY1が相互作用することを明らかにした。2) 細胞核内では、TUG1-PRC2による調節されるエピゲノムについての詳細を明らかにした。細胞質内ではTUG1と相互作用(RNAスポンジ機能)するマイクロRNA(miR-145)を同定し、幹細胞性の維持への影響を解析した。TUG1の幹細胞性の維持には、細胞質内でのmiR-145との相互作用が、核内でのPRC2との相互作用よりもより必須であることを明らかにした。3) TUG1に対するアンチセンスオリゴ(ASOと)組み合わせる複数のドラッグデリバリーシステム(DDS)の検討を行い、そのうち一つを決定した(antiTUG1-DDS)。antiTUG1-DDSが個体レベルで抗腫瘍効果を発揮することを明らかにした(Nat Commun. 2016)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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