研究課題
・ATLに対し、モガムリズマブは 有効な薬剤である。・モガムリズマブによる免疫関連有害事象は本剤のTreg除去と密接な関連を有する。・比較的重篤な免疫関連有害事象を示した症例の臨床効果は比較的良好であり、本剤のTreg除去は臨床効果と密接な関連を有する。・ATLにおけるHTLV-1感染細胞の制御に HTLV-1 Tax特異的CTL は重要な役割を果たしている。・CD4+CD45RA-FOXP3high の effector Treg phenotype を有するATL症例は、モガムリズマブへの治療反応性が比較的良好である。
2: おおむね順調に進展している
低フコース型ヒト化CCR4抗体(モガムリズマブ)は、世界に先駆け日本で成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)に対する承認を取得した薬剤である。ATLに対し劇的な効果を示す本薬剤は、人類初の”Treg除去薬”としての側面を有する。本研究は多施設共同前方視的観察臨床研究”ATLに対するモガムリズマブ治療中の免疫モニタリング, MIMOGA study (UMIN000008696)”に連動して実施している。MIMOGA study には、2015年3月までに50人を超す患者登録がなされ、49人の患者の臨床経過情報を収集した。2015年3月までの中間解析の結果、モガムリズマブ治療を受けた患者の全奏功割合は63%、生存期間中央値は16月であった。グレード3以上の皮膚関連有害事象を12%に認めたが、それらの患者の無増悪生存期間は、グレード3以上の皮膚関連有害事象を認めなかった患者に比較し有意に延長しており、全生存期間も延長する傾向を認めた。このことはモガムリズマブによる免疫関連の有害事象と臨床効果は両刃の剣である事を示し、現在進行中のGWASによる免疫関連有害事象を規定する宿主側因子の同定が待たれる。また、患者登録時のHTLV-1 Tax 特異的CTL の存在比率と末梢血HTLV-1感染細胞数、血清sIL2R値は負の相関を示し、ATLにおけるHTLV-1感染細胞の制御に HTLV-1 Tax特異的CTL が重要な役割を果たしていることが示唆された。また、ATL細胞が、CD45RA-FOXP3high の effector Treg phenotype を有するケースではモガムリズマブへの治療反応性が良好であることが示された。
多施設共同前方視的観察臨床研究”ATLに対するモガムリズマブ治療中の免疫モニタリング"への患者登録を推進する。さらには、現在進行中のGWASにより、抗腫瘍効果、免疫関連有害事象を規定する宿主側因子の同定を推し進める。
今年度はフローサイトメトリーを用いた解析が主体となり、GWAS解析を十分に実施するに至らなかった。
GWAS解析を実施する予定である。
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