研究課題/領域番号 |
25290062
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
近藤 英作 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 部長 (30252951)
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研究分担者 |
瀧川 奈義夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60325107)
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 講師 (90268855)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子診断・治療 / ペプチド / がん / 分子標的 / ドラッグデリバリー |
研究概要 |
現行の治療技術でなお回復困難な進行期ヒト難治性悪性腫瘍を対象として、われわれが最近開発した“腫瘍ホーミングペプチド”(特定の腫瘍細胞系に高度の選択的吸収性を示す細胞膜透過型ペプチド)を応用した我が国の次世代制がん医療に貢献する腫瘍標的技術の基盤開発を目指す。腫瘍ホーミングペプチドは能動的・選択的機序で腫瘍への取り込みが起こるため、血管外漏出による受動的拡散が輸送機序であるナノ粒子(デンドリマーなど)と組み合わせることにより、ナノデリバリーの特性をがん細胞・組織への能動的選択的な送達システムに変換した非常に高効率の腫瘍標的技術を構築することを試みる。初年度として、ナノ粒子に搭載する2種のペプチド“腫瘍ホーミングペプチド”と“抗腫瘍機能ペプチド”を選定する段階を実施した。肝がんホーミングペプチド(CPP44: KRPTMRFRYTWNPMK)については蛍光TAMRA修飾位置(N-term, C-term)の検討と担癌モデルマウスへの投与実験を、肺がんホーミングペプチドについては(pE12circ: CLRAKTLRLHVC)の親水性向上を目指した改変型環状ペプチド(pE12circA4E :[FLC]CLREKTLRLHVC[OH]; pE12circA4N :[FLC]CLRNKTLRLHVC[OH])を試作した。また、癌抑制遺伝子機能回復型p14ARFペプチドの配列を短縮、改変し、がん細胞増殖抑制効果の向上とペプチド感受性腫瘍の探索・同定、感受性を規定する細胞内因子の探索を合わせて行った。 結果、肝がん標的用ホーミングペプチドはin vivoにおける腫瘍vs背景肝(tumor vs background ratio)吸収比が約25倍と良好であったが、ペプチドの体内での急速な変性崩壊と骨格筋、血漿中への流出が全身スキャンを目的とした場合の克服課題であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝がん吸収性ペプチドについてはN末端蛍光標識型CPP44: KRPTMRFRYTWNPMKを第一候補配列とするが、より分解耐性と肝吸収性を抑えたスペックの開発、または新たな高性能配列ペプチドの開発を企図する。肺がん(腺癌)吸収ペプチドは疎水性を配列置換体の開発により改善したので、in vivo studyによる詳細な解析に進む。がん細胞増殖抑制機能を発揮するp14ARFペプチドはより配列の短く効果的なペプチドデザインの開発に成功した。以上より、改題点の発見と進捗を合わせて上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
肝がん吸収性ペプチドについてランダムペプチドライブラリーを利用した新たな高性能配列ペプチドの開発を現計画と並行して実施する。肺腺がん吸収性ペプチドも同様に進めてみる。がん増殖抑制機能を発揮するペプチド配列については、がん細胞内での作用の分子機序を明らかにしておく。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金分の941,446円に関しては、当センター事務の科研費取扱い締め切りが3月24日あったため、その時点での残金である。 上記残額分は平成26年度の研究計画実施の過程で必要とする物品費の一部として適正かつ完全に使用予定である。
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