研究課題
昆虫細胞を用いた強制発現系の実験から、ESCO1は、Pds5だけでなく、Rad21やSororinに直接、相互作用することを見いだした。しかし、この両因子との結合は、本研究で同定したPds5結合領域とは異なる領域、酵素ドメインを含むC末領域を介していた。また、これらの結合は、Esco2においても見られた。このことから、この結合は、Esco1とEsco2に共通する酵素活性に依存もしくは制御に寄与している可能性が考えられた。これまで、DNA複製がEsco2の活性の制御に寄与する可能性の結果を得ていたが、さらにヒトEsco2が、Mcm と直接的に結合する結果も得ることが出来た。Esco2によるコヒーシンのアセチル化は、Esco1とは異なりコヒーシン複合体へのSororinの安定的な結合に重要であった。また、反対にSororin自身が、Esco2によるコヒーシンの安定性に寄与する可能性を示す結果が得られ、Esco1とEsco2のコヒーシンに対する作用機序が異なることが示唆された。ChIP-seq解析の結果から、同定したEsco2の染色体局在は、Esco1に比べかなり結合領域数は少なかったが、同定できた一部は、コヒーシン、Esco1と共局在し、アセチル化を強調して行なうことが示唆される結果が得られた。その一方で、 染色体全体で見ると、セントロメア周辺のようなヘテロクロマチン領域に局在するEsco2に特徴的な傾向を示す結果を得た。コヒーシンやコヒーシンローダーが転写伸長に関係する因子と直接作用し、転写活性を調節する結果を得ることが出来た。
2: おおむね順調に進展している
in vitro及び細胞強制発現を利用したEscoと相互作用因子の探索系を構築することできた。また、ChIPseq解析により染色体局在を同定し、他の因子との比較解析を進めている。さらに、コヒーシンが直接転写に関係する因子との相互作用することを見いだし、この新たな経路にEscoが関与するか研究を展開していく。このように構築した実験系及び実験結果を利用してを新たに研究を展開していくことが出来る。
Escoによる相互作用因子の同定及びアセチル化領域の決定、転写反応時のEscoの染色体局在の解析、結合ドメインの解析を行なう。ここまで得られた結果を元にコヒーシンのアセチル化制御のモデル化を行なう。
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