研究課題
microRNA(以下miRNA)は、機能性小分子RNAで、細胞の分化や増殖に重要な役割を持つ。数百種以上あるmiRNAのなかでも、mir-17-92クラスターがコードするmiRNA群は、脊椎動物の胚発生に必須であるとともに、がんmiRNAとしても非常に注目されている。しかし、mir-17-92クラスター遺伝子の発現制御機構、またそれぞれのmiRNAの生理機能の理解はいまだに不十分である。本研究は、ゼブラフィッシュのモデル生物としての利点を生かして、mir-17-92が受ける転写調節機構をSox-Mycの協調作用に注目して明らかにするとともに、mir-17-92に由来するmiRNA群の機能の解明を目指す。最終的には、Sox因子群とmicroRNAからなる遺伝子制御ネットワークとその胚発生過程における役割を明らかにする目的で実施する。本年度は、mir-17-92ファミリーのうち、主要なmir-17a1-92a1クラスターに加えて、他のパラログのクラスターについて一次転写産物ならびに個々のmiRNAの発現を定量PCR法ならびにin situ ハイブリダイゼーション法により測定し、Sox11ノックダウンがこれらの発現に与える影響を調べた。Sox11ノックダウンにより一次転写産物の発現量が減少しているにもかかわらず、成熟miRNAの発現量の変化が予想外に小さいことが判明し、成熟miRNAの発現量は複雑なメカニズムにより制御されている可能性があることがわかった。また、クロマチン免疫沈降法が効率よく行えるSox11抗体が作成出来なかったためタグを付加したSox11を用いる方針へと切り替えた。この目的のため、内在Sox11遺伝子へのタグ配列の挿入をCRISPR-Cas法で実施した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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