研究課題
ホヤゲノム上の転写開始点の網羅的なマッピングの解析結果をまとめ、平成26年度に投稿した論文について、平成27年度はレフェリーの査読意見をふまえて再解析を行い、年度内に論文を発表することができた(Yokomori et al., Genome Research 26, 140-150, 2016)。この解析で同定した転写開始点の情報を、神経系の発生過程で発現制御を受ける遺伝子群の解析に活用し、各遺伝子の詳細な制御機構の解析を進めた。個々の細胞の発生機構を明らかにするためには細胞系譜の情報が非常に重要であるが、胚の細胞系譜が詳しく解明されているホヤにおいても、神経系に関しては例外であり、細胞系譜の詳細がまだ不完全であった。そこでゲノムワイドな解析と並行して、光変換により蛍光波長が変化する蛍光タンパク質Kaedeを用いて神経板の細胞系譜を解析し、従来考えられていた細胞系譜を大きく書き換える結果を得た。さらに、神経細胞特異的な幾つかの遺伝子のシス制御領域を用いた細胞標識解析と、これらの細胞の発生を制御するシグナルの解析により、脊椎動物の頭部形成に必須の要素である頭部プラコード様の細胞をみいだし、脊椎動物の頭部プラコードの起源に関する新しい知見を得た(Abitua et al., Nature 524, 462-465, 2015)。またメダカ胚を用いて、研究代表者らが見出した細胞種特異的に発現するマイクロRNAについてCRISPR-Cas9法によるノックアウトを行い、マイクロRNAの一部を欠損した個体の表現型を解析した結果、細胞特異的な遺伝子発現の大きな変化がみられ、当該マイクロRNAが細胞の固有の性質の獲得において重要な役割をもつことが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 5件)
Genome Research
巻: 26 ページ: 140-150
10.1101/gr.184648.114
AROMA RESEARCH
巻: 17 ページ: 42-44
Nature
巻: 524 ページ: 462-465
10.1038/nature14657