研究課題
Hfq結合型小分子RNA（sRNA）は標的mRNAの翻訳を制御している。Hfqの主な役割はsRNA/mRNA間の塩基対形成の促進である。申請者らは、sRNAのHfq結合領域がsRNAの3’末端領域に存在すること、3’末端のポリUテールが７塩基以上であることがHfqとの結合に必要であること、sRNA遺伝子の転写終結領域におけるリードスルー産物はsRNAとして機能しないこと、sRNA遺伝子の転写終結が種々のストレスにより促進されることなどを明らかにしてきた。平成２８年度は、sRNA遺伝子のターミネーターヘアピン構造のsRNAの産生における役割に注目して研究を進めた。sRNA遺伝子のターミネーターには7塩基以上のポリTストレッチが存在するという特徴がある。これは機能的なsRNAが産生されるための必要条件である。実際に機能的なsRNAが産生されるためには、転写終結時に７塩基以上のポリU鎖として転写される必要がある。申請者らは、sRNA遺伝子のターミネーターは機能的なsRNAを転写するためのヘアピン構造を持つと考えた。この仮設を検証するために、ヘアピン構造を安定化させる変異を導入した変異sgrS遺伝子から合成される転写産物を解析した。その結果、野生型sgrS遺伝子では、3’末端に8塩基のポリU鎖を有するSgrSが効率良く転写されたのに対し、変異sgrS遺伝子では、転写終結が早期に起こり短いポリU鎖を持つSgrSが多数合成されることを発見した。ヘアピン構造の安定化による早期の転写終結はRNAポリメラーゼによるin vitro 転写反応で再現できた。以上の結果は、ターミネーターのヘアピン構造は3’末端の転写終結位置を決定する重要な要素であり、sRNA遺伝子のターミネーターは3’末端に7塩基以上のポリU鎖を備えたRNAを合成するために最適化されていると結論した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
J. Immunol.
巻: 197 ページ: 1298-1307
https://doi.org/10.4049/jimmunol.1501953
