研究課題
自然免疫は病原体の感染をいち早く察知し炎症反応を引き起こす一方、後に続く獲得免疫を誘導するという極めて重要な役割を果たす。自然免疫の中でも病原体センサーとして機能するTLR (Toll-like receptor)はその重要性から分子細胞生物学的・医学的な研究はもちろん構造科学的な研究も広く行われている。本申請では核酸認識に関わるTLR7, 8, 9に注目し、リガンドとなる核酸の認識機構・リガンド結合による活性化機構を構造科学的に明らかにすることによって謎が多い核酸による活性化を“目に見える形で”具現する。さらにその構造情報をもとに新規のリガンド設計をめざす。TLR9はCG配列を含む一本鎖DNA(CpG-DNA)をリガンドとする一方、TLR9の働きを阻害するDNA配列(inhibitory DNA)も知られている。我々はCpG-DNAおよびinhibitory DNA とTLR9との複合体構造を明らかにした。TLR9の単量体の構造はTLR8と非常によく似たリング型の構造をしていた。TLR8とTLR9とは単量体の構造および活性化型2量体の構造はよく似ているにも関わらずリガンド結合部位は全く異なっていた。CpG-DNAは2量体の一方のプロトマーのN末端側断片の側面からリングの内側に沿う形で伸びた状態で結合していた。さらに、もう一方のプロトマーのC末端側断片の凸面との間で相互作用していた。一方inhibitory DNAとTLR9の複合体は二量体化しておらず、単量体で存在していた。inhibitory DNAはTLR9のN末端側のハーフリングの内側にコンパクトなステムループを形成して結合していたinhibitory DNAはTLR9に対して強固に結合することで、CpG-DNAの結合を競合的に阻害するものと考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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