研究課題/領域番号 |
25291012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 治夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (40292726)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 膜蛋白質 / イオンポンプ蛋白質 / X線結晶構造解析 |
研究概要 |
平成25年度は、①SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現系の構築と、②SERCA2a/PLN複合体の精製、③PLNとSLNの単体の発現系の構築、④SERCA2aの結晶構造解析、の4項目を研究の最重要課題として進めた。①に関してはS100A1、Calreticulin、HAX1、HRCの4分子を最初のターゲットとした。当初は大腸菌での発現を試みたが、S100A1以外の分子の可溶性画分での発現は確認できなかった。S100A1に関しては、計画遂行に十分量の発現を得たので、精製ができ次第諸実験を行う予定である。その他の分子に関しSf9/バキュロウィルス発現系での発現を試みたところ、calreticulinに関しては十分量の発現を得ることに成功した。精製に取り組むと同時に、残りの分子に関しても発現系の構築を進める予定である。②に関しては、SERCA2aとPLNの2種類の変異アデノウィルスによる共発現後に複合体としての精製を試みた。だが、可溶化時に高濃度のカルシウムイオンを必要とすることから、SERCA2aとPLNの解離が起こり、複合体としての精製が困難であることが判明した。そこで、PLN単体の発現・精製を行い、再構成によりSERCA2aとの複合体を形成させることにした。③に関しては、アデノウィルス/哺乳類培養細胞発現系により、PLNの野生型を含めて3種類のPLNとSLNの発現系の構築に成功した。今後精製を行い、諸実験を行う予定である。④に関しては高輝度放射光施設SPring-8でデータ収集を行なった。今後結晶条件の検討により、分解能の向上に務める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の計画は概ね達成できた。SERCA2a/PLN複合体の精製に関しては、当初はSERCA2aとPLNの2種類の変異アデノウィルスによる共発現後、精製を行う予定であった。高濃度のカルシウムイオン存在下での精製のため、両者の解離が起こり複合体としての精製が困難であることが判明したことは想定外であった。だが、この問題も、PLNやSLNを単独で発現・精製する系を構築したことにより解決できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
大腸菌での発現に成功したS100A1とSf9/バキュロウィルス系での発現に成功したcalreticulinに関しては精製系の構築を行なう。精製系の構築に成功したならば、SERCA2a/PLN複合体との諸実験に用いる。HAX1とHRCに関しては発現系の構築に引き続き取り組む。アデノウィルス/哺乳類培養細胞系での発現に成功したPLNとSLNに関しては精製系の構築を行なう。精製系の構築に成功したならば、SERCA2aとの複合体形成に取り組む。SERCA2aの結晶構造解析に関して結晶条件の検討を行い、分解能の向上に務める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で一番経費のかかる部分の1つは、培養細胞を用いたウィルスの大量精製・蛋白質の大量発現であるが、これらをまだ行っていないため。 平成26年度には発現系が確立されると考えられる。次年度使用額平成26年4月年度の予算と合わせ、培養細胞を用いたウィルスの大量精製・蛋白質の大量発現のために用いる予定である。
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