研究課題
平成26年度は、①SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現系の構築と、②PLNとSLNの単体の発現系の構築、③SERCA2aの結晶構造解析に取り組んだ。①に関してはS100A1は大腸菌により、calreticulinとHRCの発現に関しては、Sf9/バキュロウィルス発現系により成功した。そこで、S100A1、calreticulinとHRCのタグによる精製を試みた。その結果、どれも純度90%程度で精製することに成功した。また、更なる精製を目指し、そこでイオン交換カラムでの2段階目の精製を試みた。その結果、95%以上の純度でそれぞれの蛋白を精製することに成功した。平成27年度にはこれらの大量精製に取り組み、これに成功したならば、SERCA2a/PLN複合体との再構成実験と結晶化を試みる予定である。HAX1については引き続き発現系の構築に取り組んでいるが、最近スモールスケールでの発現に成功した。そこで平成27年度では、大量発現へスケールアップすると共に、精製系の構築を行う予定である。②に関しては、アデノウィルス/哺乳類培養細胞発現系により、PLNの野生型を含めて3種類のPLNとSLNの発現・精製系の構築を試み、これに成功した。現在、精製SERCA2aを混ぜ合わせ、脂質2重膜への再構成を試みている最中である。再構成に成功したならば、①で成功した精製制御因子との複合体形成を試みる予定である。③に関しては高輝度放射光実験施設SPring-8でデータ引き続き収集を行っている最中である。幾つかの条件では構造決定に成功しており、現在構造精密化を行っている最中である。
2: おおむね順調に進展している
懸案であったSERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現系の構築、そして精製に一応のめどがついた。予備的に行ったイオン交換カラムによる精製では、95%以上の純度での精製に成功しているので、制御因子単独での結晶化へも道筋がついた。PLNやSLNの発現・精製系も順調に動いている。また、発現系の構築が未完であったHAX1についてもめどがついた。SERCA2a/PLN複合体の結晶化へ向けた諸実験も順調であり、今後の研究の進展は十分期待できると考えられる。
4つのSERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の発現・精製を目標としたが、既に、3つまで成功した。今年度は最後のHAX1の発現・精製に注力するが、既にスモールスケールでの発現は確認できているので、まずはこれをスケールアップすると共に、精製系の構築を行う。既に発現・精製に成功しているものに関しては、大量精製に取り組み、これに成功したならば、SERCA2a/PLN複合体との再構成実験と結晶化を試みる予定である。また、現在構造精密化を行っている最中のSERCA2aに関しても、研究成果をまとめる予定である。
本研究で一番経費のかかる部分は、①アデノウィルスの大量精製と・膜蛋白質の大量発現・精製、②Sf9/バキュロウィルス系による発現、の2点である。これらに本格的にはまだ取り組んでいないためである。
①アデノウィルスの大量精製と・膜蛋白質の大量発現・精製、②Sf9/バキュロウィルス系による発現を大量に行うので、これに用いる予定である。
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J. Biol. Chem.
巻: 290 ページ: 4829-4842
10.1074/jbc.M114.611384