研究課題
平成27年度は①SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現系の構築と、②PLNとSLNの単体の発現系の構築、③SERCA2aの結晶構造解析に取り組んだ。①に関しては制御因子群の発現をSf9/バキュロウィルス発現系により行い、Halo-tagレジンを用いての精製、イオン交換カラムでの2段階目の精製、及びゲルろ過精製を行い、SDS-PAGEのCBB染色でほぼシングルバンドとして得ることに成功し、ようやく結晶化が可能な段階に到達した。現在、結晶化と生化学実験に取り組んでおり、平成28年度はこれに集中する予定である。②に関しては、平成27年度の研究により、SERCA2aとの脂質2重膜への再構成には当初の想定以上に大量の精製産物が必要であることが判明した。そこで新たに大腸菌による発現系の構築を行った。発現系の構築と、素精製には既に成功し、再構成に十分量の蛋白を得ている。現在2段階目の精製を行っている最中であり、平成28年度の初期には精製を終える予定である。精製に成功したならば、精製SERCA2aを混ぜ合わせ、脂質2重膜への再構成を再び試みる。再構成に成功したならば、①で成功した精製制御因子との複合体形成を試みると同時に、生化学実験を行う予定である。③に関しては高輝度放射光実験施設SPring-8でデータ引き続き収集を行っている最中である。幾つかの条件では構造決定に成功しており、構造精密化の最終段階である。
2: おおむね順調に進展している
SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の大量発現系・精製に成功し、ようやく結晶化が可能なレベルに達した。PLNやSLNの発現・精製系も順調に動き出しており、SERCA2a/PLN複合体の結晶化へ向けた諸実験も順調であり、今後の研究の進展は十分期待できると考えられる。SERCA2aの結晶構造解析に関しても、構造精密化の最終段階である。
これまでの研究により、SERCA2a/PLN複合体を制御する因子群の結晶化がようやっと可能な段階に到達した。まずは、これらの結晶化に取り組むと同時に、生化学実験を行う予定である。また、PLNの大量精製に成功したならば、SERCA2aとの脂質2重膜への再構成を試みる。再構成に成功したならば、①で成功した精製制御因子との複合体形成を試みると共に、SERCA2a/PLN複合体との結合実験と結晶化を試みる予定である。現在構造精密化を行っている最中のSERCA2aに関しても、高輝度放射光施設SPring-8でデータ収集を続けると共に、早急に研究成果をまとめる予定である。
平成27年度までの研究で、レギュラトームの大量発現・精製系の構築に成功し、高純度の精製標品を大量に得ることに成功した。補助事業をより精緻に達成するためには、レギュラトームのX線結晶構造解析と詳細な機能解析が必須であると考えている。これらの実験の実施、学会参加、論文発表のためにも1年間の補助事業期間の延長が必要であるため。
実験実施に必要な物品の購入や、旅費、並びに人件費等に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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