研究課題
本研究の目的は、心筋細胞でのCa2+制御機構を原子構造に基づいて理解することである。心筋の収縮はSERCA2a/PLN系により制御されているが、これを更に制御する因子群の機能解析を目指し、最終的にその複合体であるSERCA2a/PLNレギュラトームの解明を目指した。平成27年度までの研究で、Sf9/バキュロウィルス発現系とHalo-tagレジンを用いた精製により、SERCA2a/PLN系を制御する因子群の大量発現・精製系の構築に成功し、高純度の精製標品を大量に得ることに成功した。レギュラトームの機能理解のためにも、まずはこれら単体蛋白質のX線結晶構造解析が必須と考え、現在結晶化を行っているところであり、これは引き続き行う予定である。また、大腸菌を用い、PLNの簡便な大量発現・精製系の構築にも成功した。既に、脂質2重膜への再構成には成功している。この再構成膜を用いてこれら制御因子がSERCA2a/PLN系を制御する機構を解析中である。また、SERCA2a/PLN系のナノディスクへの組み込みにも取り組んでいる。制御因子によっては、細胞質側から作用するものもあるし、小胞体内腔側から作用するものもある。その点、ナノディスクに組み込まれたSERCA2a/PLN系は、制御分子が細胞質側と小胞体内腔側の両面からのアクセスが可能であり、制御機構の理解に好都合と考えられる。今後は、再構成2重膜とナノディスクの両面から解析を進めて行く方針である。SERCA2aの結晶構造解析に関しては高輝度放射光実験施設SPring-8でデータ引き続き収集を行っている最中である。幾つかの条件では構造決定に成功しており、構造精密化の最終段階である。データ収集を続けると共に、早急に研究成果をまとめる予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Human Mutation
巻: 37 ページ: 1231-1241
10.1002/humu.23072