研究課題
細菌の“折合い遺伝子”の同定と機能解析1. 大腸菌遺伝子ompCによる細菌と宿主との共存前年度の研究で、二成分制御系EnvZ-OmpRがompC遺伝子の発現を促し、大腸菌の宿主殺傷性の低減が導びかれることが判明した。27年度には、envZ-ompRによるompC発現誘導の仕組み及び外膜タンパク質であるOmpCの働き方を調べた。その結果、ショウジョウバエに感染した大腸菌においてEnvZ-OmpRの発現量が増大すること、及び大腸菌をショウジョウバエ体液にさらすとEnvZのリン酸化が亢進すること、が見いだされた。一方、OmpCによる宿主殺傷性低下の仕組みを明らかにすることはできなかった。まだ解決すべき点は残るが、大腸菌遺伝子envZ-ompR/ompCが宿主と細菌の共存を可能にする“折合い遺伝子”であると結論された。2. RNAシャペロンHfqによる大腸菌の貪食除去の阻害ショウジョウバエ成虫に大腸菌を感染させる実験を行い、RNAシャペロンとして知られるHfqの役割を調べた。その結果、Hfqを欠損させた大腸菌は速やかに宿主から排除されることがわかった。さらに、Hfqを持つ大腸菌はショウジョウバエのヘモサイトによる貪食と取込み後の殺菌を逃れることが示された。よって、大腸菌はHfqによる貪食阻害を介してショウジョウバエ内での生存を維持すると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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