研究課題
当初の実験計画に従って実験を行った。マボヤ精子プロテアソームは、他組織のプロテアソームとは異なり、α6サブユニットのC末端16残基がプロセシングされている。そこで、新たに出現するC末端に対するペプチド抗体を作製し、抗原ペプチドカラムを用いて精製した。この精製抗体を用いて精子抽出液のウエスタンブロット解析を行ったところ、精子プロテアソームのα6サブユニットの分子量である32kDaの位置に単一バンドを与え、本抗体のプロテアソームに対する特異性が高いことが示された。この抗体を用いて免疫染色を行ったところ、界面活性剤で透過処理していない精子頭部ミトコンドリア付近が染色された。この結果は精子頭部ミトコンドリアを被う細胞膜表面にプロテアソームが存在することを示唆している。ついで、カルシウムイオノフォア処理により精子反応を誘導し、局在性変化を解析した。その結果、精子頭部ミトコンドリアを被う細胞膜表面のプロテアソームに由来する蛍光が精子反応により消失することが判明した。精子反応に伴って、プロテアソームが細胞膜から遊離する可能性が考えられる。次に、精子細胞質画分と膜画分の抽出液を用いて、免疫沈降実験を行った。その結果、細胞質画分では、32kDaと30kDa、膜画分では90kDaの成分がプロテアソーム抗体で特異的に沈降した。細胞質画分の共沈成分を質量分析したところ、α6サブユニットに加えて、UrabinとTTSP1が同定された。また、90kDaバンドにはα6サブユニットが同定された。これらの結果は、プロテアソームがUrabinやTTSP1と相互作用することを示唆している。また、膜画分においては、α6と共有結合する膜タンパク質が存在する可能性を示唆している。最後に、本抗体の受精に及ぼす影響を調べたところ、受精が強く阻害され、精子プロテアソームが細胞外で受精に重要な役割を果たすことが再確認された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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