研究課題
Syntaxin17(Syn17)は小胞体のMAMおよびミトコンドリアに局在し、富栄養下ではミトコンドリア分裂因子Drp1の局在と機能を調節することでミトコンドリアの分裂を促進している。栄養飢餓となると、Syn17はDrp1から解離し、ATG14(PI3-キナーゼサブユニット)をMAMへリクルートしてオートファゴソームの形成を促す。本年度はSyn17とDrp1との相互作用を仲介する因子の同定を行った。Syn17結合タンパク質を探索し、微小管結合タンパク質であるMAP1B-LC1を同定した。MAP1B-LC1は神経系細胞において高発現していることが知られていたが、HeLa細胞を含む培養細胞一般に広く発現していることが判明した。Syn17とDrp1の結合(近接)およびSyn17と微小管の結合(近接)はMAP1B-LC1に依存していた。MAP1B-LC1の発現を抑制すると、富栄養状態であるにもかかわらずSyn17とATG14が結合し、オートファゴソームが蓄積した。一方、MAP1B-LC1を過剰発現させると栄養飢餓においてもオートファゴソームは形成されなかった。これらの結果は、富栄養状態においてMAP1B-LC1はSyn17とDrp1の結合を仲介し、Syn17がATG14と結合することを抑制していることを示唆している。実際、栄養飢餓状態にするとMAP1B-LC1はSyn17から解離したので、この解離によってSyn17がATG14と結合できるようになったと考えられる。栄養飢餓時においてはMAP1B-LC1は脱リン酸化され、脱リン酸化型を模倣したMAP1B-LC1変異体はSyn17との結合が弱まり、また過剰発現しても栄養飢餓に伴うオートファゴソームの形成を阻害しなかった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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