研究課題
本年度は QM/MM RWFE-SCF 法と MD 法を用いて、Ras-GAP GTPase タンパク質複合体の変異体の反応性解析、F1-ATPase のヌクレオチド加水分解反応の触媒活性におけるアロステリック効果の解析、及び QM/MM RWFE-SCF 法における QM-MM 相互作用の改良とそれを用いたリゾチームの pKa 計算を行った。以下にそれぞれの詳細を述べる。Ras-GAP 変異体の GTP 加水分解反応の分子機構 昨年度までの天然タンパク質の計算で得られた反応始状態、遷移状態、及び終状態の構造を出発点として、腫瘍形成に関わっていると考えられている Leu902 の二つの変異体に対して、自由エネルギー構造最適化計算及び反応活性化自由エネルギー計算を行った。その結果、天然タンパク質で見られている活性部位からの顕著な水分子の移動が変調し、反応活性化エネルギーも増加することを明らかにした。F1-ATPase の ATP 加水分解反応に対するアロステリック効果の分子機構 前年度に引き続き QM/MM RWFE-SCF 法を用いてリン酸結合部位でのリン酸脱離状態における ATP 加水分解反応の始状態の自由エネルギー構造最適化を行った。更に、リン酸結合部位にリン酸が結合している状態に対しても QM/MM RWFE-SCF 法を用いて ATP 加水分解反応の始状態の構造最適化を行った。構造最適化は以前収束していないものの、リン酸結合部位の結合状態の違いによって、大域的な構造変化が起こり、遠位の ATP 加水分解反応部位の構造に顕著な変調が起きることが観測されている。QM/MM RWFE-SCF 法における QM-MM 相互作用の改良とそれを用いたリゾチームの pKa 計算 多極子相互作用を用いた QM-MM 間静電相互作用演算子の開発を行い、QM/MM 法及び MD プログラムパッケージに実装した。また、それを用いて、リゾチームの酸性残基の pKa の計算を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件、 招待講演 7件)
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