生体分子の自己組織化によって形成された構造は,高圧をかけると崩れる(例:蛋白質の圧力変性,アクチンフィラメントのモノマーへの解離,アミロイド繊維の崩壊)。また,低温では構造形成力が弱まる(例:蛋白質の低温変性,ミオシンとアクチンの結合力の低下)。これらの実験事実を支配するのが,水の並進配置エントロピー効果の生体分子-水分子間多体相関成分であることを示した。蛋白質の折り畳み・種々の変性・共溶媒の添加効果を同じ理論的枠組みで説明できた。種々のタイプの分子認識を統一的に理解可能とした。ABCトランスポーターによる多剤排出の物理を明確にした。ATP駆動蛋白質の機能発現機構に対し,斬新な考え方を示した。
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