研究課題/領域番号 |
25291039
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
秋山 修志 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 教授 (50391842)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タンパク質 / タイミング |
研究実績の概要 |
シアノバクテリアの生物時計においては、発振周期を定める制御機構の所在が唯一のタンパク質分子(KaiC)にまで絞り込まれつつある。本年度は、独自開発した実験装置を用いてタンパク質に様々な外乱を与え、それらへの応答を生化学的手法や分光学的手法で計測してきた。実験装置が安定に稼動し始めたこともあり、野生型やその変異体を含めた試料についてデータを収集した。 野生型については予想されたような応答が観察され、実験データを詳細に解析することで分子に秘められた時定数を決定することができた。また、得られた実験データを説明するべく、種々のモデル構築についても検討を開始した。 一方、時計タンパク質に様々な変異を導入し、周期や安定性のことなる変異型タンパク質を測定対象として設計した。その際、これまでの研究から知られていた変異体に加えて、タンパク質の立体構造情報に立脚した変異体も新たに独自デザインした。これまでのところ、野生型よりも短い周期を示すもの(短周期型)、より長い周期を示すもの(長周期型)、リズム消失もしくは不安定になってしまうもの(無周期型)、などの変異体が得られている。一部の変異体について予備的な実験を行ったところ、時定数が明瞭に変化していることが確認された。 更なる実験・解析を続け、コアとなる分子の時定数と、その分子が組み込まれたシステムの時定数がどのような関係にあるのかを詳細に調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完成した実験装置を用いた実験が本格的に開始され、野生型や変異体を含めた実験データの収集がほぼルーチン化されたため。
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今後の研究の推進方策 |
野生型や変異体について更なる実験・解析を続け、コアとなる分子の固有振動数と、その分子が組み込まれたシステムの振動数がどのような関係にあるのかを詳細に調べていく。また、網羅的に取得した固有振動数に関するデータをタンパク質の構造上にマッピングし、振動数を規定する部位を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置が安定稼動しかつルーチン的に運用されるまで、ネットワークを介した遠隔制御システムについては開発・導入を保留していた。主にこのような理由から次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
安定稼動およびルーチン化が確認されたため、ネットワークを介した遠隔制御システムを導入する。これにより遠隔地からの実験操作・解析が可能となり、他機関との共同研究の可能性が広がるものと期待している。
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