研究課題
KaiC単独(KaiAやKaiBが無い状態)であっても,KaiCのATPase活性が減衰振動を示すことを見出した.観察された減衰型の緩和曲線を2次の伝達関数を用いて解析したところ,減衰振動成分の固有振動数は野生型で0.91/日と見積もられた.我々は周期の異なるKaiC変異体(株)についても同様の実験を行った.KaiC単独(野生型や変異体)の固有振動数が,KaiAやKaiBが共存する分子システムとしてのリズム(リン酸化リズムや転写翻訳リズム)の振動数と1対1対応していることを発見した.さらに,固有振動数がKaiCのATPase活性,とくにKaiCのN末端ドメインにあるATPase活性によって規定(ATPase活性が高い → 固有振動数が大きい)されることを証明した.周期長を決めるATPase活性の制御機構を詳しく調べるため,KaiCのN末端ドメインの高分解能構造解析(最高1.76Å)を行い,野生型と周期変異体を含めて計9個の構造をデータベースに登録した.従来の構造解析では分解能が十分でなかった為に見落とされてきたが,我々が公開した新しい原子座標には機能を表出せしめている構造部位が鮮明に映し出されており,「遅さの根源となる不安定な局所構造」や「温度補償を実現する分子構造の対称性破れ」などを発見することができた.なかでもATPのリン酸基を求核攻撃する加水分解水は,高いATPase活性を示す他の酵素(ミオシンやキネシンなど)に比べて遠く離れた位置に隔離されており,絶対的な反応の遅さを生み出している構造要因の一つであることが示された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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SPring-8 Research Frontiers 2015
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放射光
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