研究概要 |
軸索ガイダンス因子として知られる細胞間シグナル分子セマフォリンと受容体プレキシンは、動物細胞形態の重要な制御系を構成する。セマフォリンが細胞骨格だけでなく翻訳や細胞膜動態など多岐に渡る細胞特性制御に関わることが明らかになりつつある。本研究では線虫C. elegans表皮細胞をモデルとして、発生中の個体内で細胞形態が変化する際にセマフォリンが引き起こす多様な細胞内事象の包括的な同定・解明を目指す。このためにセマフォリンの膜動態および細胞内輸送に対する作用について、TORシグナルおよびCa++との関係に注目して遺伝学的・細胞生物学的解析を行っている。 エンドサイトシスファクターであるUNC-57 endophilin, UNC-26 synaptojaninの各変異がセマフォリンシグナル変異体のray表現型を抑圧することがわかった。さらに膜動態解析ではセマフォリンによるsynaptotagmin1/stonin2系制御の実態を解析するため、C. elegansで細胞膜小胞系の局在マーカーとして実績のある以下の因子と蛍光蛋白質融合蛋白質をlin-17p制御下で発現する形質転換系統を作製した。 endosome (Rab8), early endosome (Rab5), recycling endosome, (Rab-11),late endosome (Rab7),T, golgi (GOS-28), lysosome (LMP-1)。このうち golgiマーカー以外ではGFP発現が認められ、野生型ではsynaptotagmin1がRab-7、さらにLMP-1と一部局在すること、セマフォリンシグナル変異体ではこの共局在性が低下することが明らかとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
RNAi-Library検索を引き続き行う。また、エンドサイトシスファクターであるUNC-57 endophilin, UNC-26 synaptojanin, DYN-1 dynamin も蛍光タンパク質標識してlin-17pを用いて発現させた形質転換体を作製し、イメージングを野生型とplx-1変異体とで行う。 endocytosis/exocytosisの可視化による解析:SNT-1:: Sep/pHluorin2発現トランスジーンを持つplx-1変異体と野生型のライブイメージングを行い、蛍光強度変化を手がかりにして細胞内取り込み・細胞表面表出を可視化し、endocytosis/exocytosisの指標とする。
|