研究実績の概要 |
H28年度 RNAiスクリーニング:昨年度に引き続きプレキシン雄変異体の尾部形態異常表現型の抑圧を指標とした検索を行い、予定通りGeneService社 の RNAi Chromosome Set (I, II, III, IV, V, X) library (Ahringer et al., Genome Biology 2000) に含まれる約1万6千クローン全てを対象としたスクリーニングを完了させた。スクリーニングの結果、約100個のRNAiクローンによって、プレキシン変異体では通常見られない野生型表現型を示す個体が10% 以上出現し、これらクローンの原因遺伝子の中には、代謝酵素や細胞膜タンパク質も含まれていた。これまで私たちは遺伝子変異サプレッサー解析によりセマフォリンシグナル下流でTORシグナルを介した翻訳やエンドサイトシスが制御されていることを明らかにしてきたが、今回のRNAi検索の結果は、それ以外の未知のイベントも存在することを示唆している。ただし、本研究の毛結果、本来遺伝子に対応しない配列を含むクローンによるRNAi処理でも、プレキシン変異体尾部形態異常の表現型が抑圧されることがまれにではあるが観察されており、今後、該当する遺伝子の変異を用いて抑圧を確認する作業が必要である。 確実に抑圧効果が確認できた遺伝子に関して抑圧機構の詳細を解明することが今後の課題である。 Ca++ レベルの測定:線虫細胞でのERからのCa++放出を高感度で検出するため、ER-targeted GCaMPを用いたカルシウムイメージングを行った。神経細胞で、神経活動に対応すると考えられるシグナルの変動が記録でき、プローブの有用性が確認できた。しかし、ray前駆表皮細胞において野生型とplx-1変異体との間でシグナルの差は検出できなかった。
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