研究課題
哺乳類の成熟卵子は、最終分化した細胞のエピゲノム情報をリプログラミングし、全能性を再獲得させる能力を有している。申請者は、in silico screeningにより全能性を有する初期の着床前胚に特異的あるいは高発現する遺伝子として機能未知の7個の遺伝子(Klf17、Btg4、Pramef12、Trim61、Rfpl4、Zbed3、Zc3h6)について解析をおこなってきた。前年度までに、Klf17とBtg4についてはノックアウトマウスを用いた解析から、それぞれ受精後に生じる胚性遺伝子の活性化と母性RNAの分解に重要な役割を果たすことを明らかにしてきた。今年度は、Pramef12のKOマウスを作製し、解析をおこなった。その結果、オスのKOマウスが不妊になることを明らかにした。また、KOマウスの精巣は、野生型と比較して著しく小さくなることが示された。さらに、KOマウスの精巣においても精細管の構造は確認できるものの、全ての分化段階の生殖細胞が存在しておらず、精巣上体内にも成熟した精子が全く認められないことが明らかとなった。これらのことから、Pramef12の雄性不妊の原因は精子形成不全であることが示された。次に、Pramef12は、精巣では発現が認められないことから、胎仔期の生殖細胞である始原生殖細胞における発現を検討したところ、胎齢13.5日胚においてオスの始原生殖細胞特異的に発現することが明らかとなった。オスの始原生殖細胞は、レチノイン酸シグナルを抑制することにより、減数分裂への移行が阻害されていることが明らかにされている。また、Prameファミリータンパク質はレチノインサンシグナルと負に制御することが明らかにされている。以上から、Pramef12は、胎仔期の雄性生殖細胞において、減数分裂への移行を阻害している可能性が示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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