植物の器官原基形成初期過程における細胞分裂の制限機構に関して、シロイヌナズナの温度感受性突然変異体などを用いた解析を行い、次の知見を得た。側根原基の起源となる内鞘細胞の垂層非対称分裂は、ミトコンドリアが関与する制限を受ける。この制限はミトコンドリアmRNAの代謝異常と高温に対して、特徴的な脆弱性を示す。ミトコンドリアmRNAの代謝異常では、ポリA付加が鍵である。シュート再生時の不定芽原基構築に際しては、CUC-STM経路の抑制的調節と連動して細胞分裂が制限される。リボソームRNA生合成の不全は、転写因子のANAC082を介してストレス応答反応を引き起こし、その一環としてこの調節の破綻を招く。
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