根粒菌を感染させたミヤコグサの根と根粒のRNA-seq解析から新たに5つのCLE遺伝子が見つかった。その中のCLE-RS3とCLE40は根粒菌の感染後、根粒原基形成より誘導されることが示された。それらの機能を知るために毛状根系で過剰発現させたところ、CLE-RS3はHAR1依存的にシステミックに根粒形成を抑制することが示された。 これまでにCLE-RS1/2がコードするCLEペプチドが糖修飾され、HAR1に結合することを報告してきた。CLE遺伝子の機能欠損の表現型は不明である。そこでミヤコグサでCRISPR/Cas9によるノックアウトを試みた。ミヤコグサでCRISPRが有効であることを確かめるためにHAR1をポジティブコントロールとして行った。その結果、当代の実生ですでに根粒過剰着生を示す個体が観察された。CLE-RS1/2についてもノックアウトを行い、それぞれ変異体を単離することに成功した。 TMLは根で機能する根粒形成のオートレギュレーションの最終段階に位置する因子であり、シュート由来シグナルの受容に関わると推測される。TMLと相互作用する因子の機能を知るためにLORE1挿入ラインを入手し表現型解析を行った。 これまでに根粒と茎頂メリステム(SAM)という全く異なる器官において、複数の共通制御因子が存在することを明らかにしてきた。オートレギュレーションはSAMにも存在するので、SAMの制御システムが根粒制御に流用されたと考えている。SAMのパターン形成においては、細胞分裂による領域拡大での増殖モードが重要であり、それはWUS-CLV3相互制御のパラメータに依存して4種類に分類できることを報告している。そこで増殖モードがどのような機構で制御されているのかを調べたところ、パラメータにより定義される“パターン形成の強さ”に依存して増殖モードが変化することが明らかになった。
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