ふ化直後のヒヨコを用いて神経経済学的研究を行った。これまでに競争的な環境で採餌をさせると選択衝動性が著しく亢進することを見出してきた。本研究では大脳線条体と扁桃体相同領域に着目して、意思決定が報酬量・近さ・コスト・リスク・公共情報等多様な価値によってどのように決まるか、を実験的に調べ、次の結果を得た。(1)競争の下では手がかり刺激から報酬量を想起するシステムが抑制を受ける、(2)競争下ではより多くのエフォートを払うが、これは中脳の報酬系(ドーパミン系)ではなく情動系(扁桃体)によって担われている、(3)餌量のリスクと競争が共にある場合に衝動性が亢進する、(4)競争の結果餌の情報は共有される。
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