研究課題/領域番号 |
25291074
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
伊藤 悦朗 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80203131)
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研究分担者 |
松尾 亮太 福岡女子大学, 文理学部, 准教授 (40334338)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インスリン / 学習記憶 / モノアラガイ |
研究実績の概要 |
軟体動物腹足類モノアラガイに味覚嫌悪学習を施すと、インスリン様ぺプチド遺伝子の転写発現が亢進していることが、われわれの先行研究からすでにわかっている。そこで、単離したモノアラガイの脳に、市販されているほ乳類のインスリンまたはインスリン様ぺプチドを高濃度で含有していると予想されるモノアラガイの脳の抽出液を投与したところ、両者の場合とも味覚嫌悪学習の基盤となる神経シナプスにおいて「長期増強」(シナプスでの伝達効率が上昇する現象。学習の素過程と考えられている)が観察された。したがって本研究では、モノアラガイの体内インスリン様ペプチドの濃度および体内グルコース濃度の2つを、「超高感度測定法」を駆使して極微量定量し、かつその濃度を人為的に調節することによって、それらの濃度と学習成績(すなわち行動変容)との関係についての詳細を明らかにする。そして最終的には、栄養状態と学習成績との関係を見出すことを目的としている。 残念ながら、このインスリン様ペプチドの抗体作製にはいまだ手こずっており完成していない。これは今後も最大の努力を重ねる。さらにはグルコース濃度測定は成功しており、これはすでに論文発表を行った。そしてインスリンの体内注入による行動変容についてもすでに興味深い成果を論文発表した。あと、空腹状態ならびに飢餓状態のモノアラガイの行動変容についてもデータが出始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モノアラガイのインスリンの抗体作製に、予定以上の時間がかかっている。その他の研究項目は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
抗体作製に全力をあげる。 一方で、他の研究項目については順調に進んでおり、現在は、空腹時ならびに満腹時のセロトニン濃度についても調べ始めている。さらには、他の動物から最近得られた知見をもとに、インスリンシグナル機構と学習記憶の研究もさらに発展させていく算段が付いた。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた額より実際の金額が安くなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度に学会発表をするため、旅費に加えた。
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