研究課題
生物時計はシアノバクテリアから我々ヒトに至るまで、ほぼすべての生物がもつ計時機構である。これは地球の自転に伴う昼夜の環境変化に適応するために、生物が進化の過程で獲得した機構である。生物時計の構成因子をコードする遺伝子(時計遺伝子)は、1984年にショウジョウバエでperiodが同定されて以来、様々なモデル生物で次々と同定されてきた。その中で驚いたことは、時計遺伝子が進化の過程で保存されていないことであった。生物時計は、24時間という極めて長周期の振動や温度補償性など、生化学的に際立った特性があり、そのような特性が異なる分子で作られている事実は大変興味深い。また、このような多様性がどのように生じたのか、なぜ生じたのかなど、生物時計の進化的な側面は未解明である。本研究では、我々のこれまでの研究を発展させると共に、未解明である植物時計の進化的側面に焦点を当てる。具体的には、1)緑藻と高等植物の時計の部品(時計遺伝子)は互換性があるのか、2)葉緑体の起源である藍色細菌がもつ時計は、現在は時計を失っている緑藻の葉緑体において機能するのか、の二点を実験的に明らかにする。今年度は、高等植物の時計遺伝子を緑藻に組み込んで時計として機能するかどうかを検討し、少なくとも、現在における高等植物の時計遺伝子は緑藻において機能しないことを明らかにした。また、藍色細菌の時計遺伝子クラスターを緑藻の葉緑体に組み込んだ。さらに、藍色細菌の時計機能の解析において、時計タンパク質KaiBの単量体、二量体、四量体間の相互転換の重要性を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画に沿って、研究を遂行できている。
今後も当初の計画に沿って研究を遂行する。
研究の進展に伴う生物発光測定の簡略化等において、当初予定していた額より少ない額で研究を遂行することができたため。
当初予定の研究を速やかに遂行し、さらなる研究の進展を目指すために、本研究を行う研究員の雇用に当てる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)
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