研究課題/領域番号 |
25291075
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石浦 正寛 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 名誉教授 (20132730)
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研究分担者 |
松尾 拓哉 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教 (00452201)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生物時計 |
研究実績の概要 |
我々は、生物時計のメカニズムの研究を、藍色細菌、緑藻、高等植物でそれぞれ進めてきた。それらの研究から、植物の持つ時計の共通点と相違点が見えてきた。本研究では、我々のこれまでの研究を発展させると共に、未解明である植物時計の進化的側面に焦点を当てた。具体的には1)緑藻と高等植物の時計の部品(時計遺伝子)は互換性があるのか、2)藍色細菌の細胞内共生によって生じた小器官である葉緑体において、現在の藍色細菌の時計は機能するのかの二つに焦点を当てた。 緑藻の時計遺伝子ROC75は、高等植物の時計遺伝子PCL1(LUX)と極めて類似したGARPタンパク質をコードしている。今年度は、緑藻クラミドモナスのROC75変異体の表現型が、高等植物のPCL1の異種発現において相補されるか検証した。その結果、相補されないことが明らかになった。その原因を突き止めるべく、ROC75の発現パターンやターゲット遺伝子などの解析を行い、LUXと比較した。その結果、緑藻と高等植物の概日時計におけるGARPタンパク質の役割の違いが見えてきた。 また、藍色細菌の時計遺伝子KaiA、KaiB、KaiCをクラミドモナスの葉緑体において発現させた結果、葉緑体、及び核における遺伝子発現のリズムに影響を及ぼさないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画に沿って進んでいる。特に緑藻クラミドモナスの時計遺伝子ROC75の解析は当初の予定以上の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
特に緑藻クラミドモナスの時計遺伝子ROC75に焦点を当てて解析を進め。論文を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
緑藻の時計遺伝子ROC75の解析において予想以上の成果が得られたため、より綿密な解析を行うために当初の計画を変更した。具体的には、グルココルチコイド受容体を利用した遺伝子発現の制御系を緑藻において確立したので、それを活用してROC75の詳細な機能解析を行う。また、その成果をまとめた論文を発表する。
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次年度使用額の使用計画 |
遺伝子及びタンパク質の解析に必要な試薬類の購入、および概日リズム測定に必要な培養器具類、試薬類の購入に充てる。また、実験を行う技術補佐員の人件費に使用する。
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