研究課題
SmcHD1の機能欠損胚のメスでは,不活性X染色体の再活性化が起こり,胎生14日前後で致死となる.しかし,Smchd1欠損胚から調整した胚線維芽細胞(MEF)を用いて,不活性X染色体に集積することが知られるヒストン修飾を免疫染色で観察すると,正常胚の不活性X染色体と区別がつかない.ヘテロクロマチン状態は維持されているかに見える,このようなSmcHD1欠損胚における再活性化したX染色体のクロマチン状態を理解するために,ヒストンH3K27me3,H9K9me3,SmcHD1およびその相互作用因子であるHbix1に対する特異抗体を用いてChIP-seqを行った.その結果,免疫染色では区別できないような局所的な差異が一部に見出された.また,不活性X染色体の再活性化がどの程度の規模で起きているか知るために,RNA-seqも行った.この場合は,亜種間マウスの交配によるハイブリッドの胎仔より調製したMEFを用いたので,活性X染色体と不活性X染色体それぞれに由来する転写産物を塩基多型で区別することができるようにした.その結果,従来考えられていたよりも多くの遺伝子が不活性X染色体から発現していることがわかってきた.これはアレル特異的に遺伝子発現を解析することによって,以前行われたマイクロアレイを用いた解析に比べより高い解像度で解析することができたためと考えられる.さらに不活性X染色体の維持におけるSmcHD1の重要性を評価するため,CRISPR-Cas9によりMEFでSmcHD1の機能を阻害しその影響を調べた.こうした解析から得られた結果を基に,現在成果発表の準備を進めている.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)
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