減数分裂期前期の相同染色体の相互認識・対合は相同組換えの前にすでに完了しているが、しかし、相同染色体同士がどのようにお互いに見つけて対合する分子メカニズムはほとんど不明である。申請者が分裂酵母において、減数分裂期に転写され、転写されるsme2遺伝子ローカスに集積する非コードRNAmeiRNA-Lが相同染色体を積極的に繋ぎとめる役割をしていることを発見した。本申請研究では、染色体相互認識における染色体集積RNAの作用機構ならびに分子メカニズムの解明を目的としている。新規のmeiRNA-L結合タンパク質の同定をめざし、昨年度までの研究でsme2ローカスにドット状集積するSmpタンパク質(sme2 localised proteins)を10個(smp1~10)同定した。今年度においてsmp1~10の対合への寄与について調べた。smpタンパク質のうち、生育に必須ではないタンパク質の遺伝子破壊を行い、対合に与える影響を調べた結果、smp5とsmp7がsme2ローカスのロバスト対合に必要であることを見つけた。さらにこれらの破壊株ではmeiRNA-Lのドット状集積が阻害され、複数のドットに分散することになった。生育に必須なsmpタンパク質について、degronの系を用いて減数分裂期前期から破壊されることを試み、smp8が対合に必要であることを見つけた。今後、これらのタンパク質のsme2対合活性における役割、さらに、sme2ローカス以外のドットの染色体局在部位などを解明していきたい。
|