研究課題
平成27年度は、オニヤブソテツ類の無配生殖型(オニヤブソテツ)と2倍体有性生殖型(ヒメオニヤブソテツ)の間に生じた雑種個体に形成された減数性の胞子(胞子嚢あたり64の胞子が形成されていたもの)を寒天培地上に蒔いて生じた配偶体のDNA解析を行った。具体的には、一匹ずつ単離した状態で胞子体を形成した配偶体(無配生殖能があると考えられる、すなわち無配生殖型)、並びにその状態では胞子体を形成できなかった配偶体(無配生殖能を持たない、すなわち有性生殖型と考えられる)をそれぞれ41個体ずつ龍谷大学農学部のクロノミクスNGS解析係に委託してRAD-seq解析を行った。その結果、Q30値の高い7Gbpの配列データが得られた。現在、詳しい解析を続けているところではあるが、有性生殖型と無配生殖型の間に生じたF1雑種に由来する無配生殖型と有性植型の子孫配偶体の間で、きれいに分かれるSNPは、残念ながらまだ見出されていない。その理由としては、無配生殖能がないと判断した配偶体の中に無配生殖能をもつが、生理的・環境的な条件のせいで未だ胞子体が形成されていないものが含まれていることが考えられる。実際に有性生殖型(胞子体が形成されなかった)配偶体の方が無配生殖型の配偶体よりも有意ではないものの、数は多かった。今後、さらに無配生殖型と有性生殖型と考えられる子孫配偶体の数を増やしてRAD-seq解析を行いたいと考えている。オニヤブソテツ類の配偶体からも、この方法で質の良い大量の塩基配列データがに得られることが確かめられたからである。一方、平成27年度にはベニシダ類各種のPCRーSSCP法によるゲノム構成の解析も継続して行い、ベニシダ類の1種であるオオベニシダには、ベニシダ類とは比較的遠縁なミサキカグマのゲノムが含まれていることを明らかにすることができた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Acta Phytotaxonomica et Geobotanica
巻: 66 ページ: 35-45
巻: 66 ページ: 47-57
http://www.biol.se.tmu.ac.jp/labo.asp?ID=plasys