理論的解析により、雄側の識別遺伝子と雌側の識別遺伝子が強く連鎖していなくても自家不和合性が進化することがわかった。雄側の識別遺伝子を持つことに何らかのコストがあるならば、この条件が満たされることもわかった。 S対立遺伝子が多様化する新仮説を提唱した。自家不和合性が不完全な集団を考える。その集団中のあるS対立遺伝子に、自身のペアをより強く拒絶できる変異が出現したとする。自殖をより強く防ぐことができるので、この変異型は広まっていく。この過程は、雄側または雌側どちらか一つだけの突然変異しか必要としない。そのため、こうした変異は比較的起こり易いであろう。これにより、S対立遺伝子が多様化してきた。
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