一般に、ミジンコは単為生殖により繁殖し、有性生殖により休眠卵を産卵する。しかし、越冬を担う休眠卵生産が遺伝的多様性や個体群の遺伝構造にどのような影響を及ぼすかよく分かっていない。そこで、本研究ではミジンコ類を対象に広域的な遺伝構造を把握するともに、ミジンコ個体群の遺伝構造と休眠卵生産との関係について解析を行った。その結果、日本のミジンコは北米がら侵入した4クローンを起源としており、絶対単為生殖型であることがわかった。1つの池に複数のクローンが生息出来るのは、競争が激化する前に休眠卵を産むためであり、環境変化に対する休眠卵生産の鋭敏さは集団の遺伝的多様性を維持する上でも重要であることが判った。
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