研究課題/領域番号 |
25291095
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
彦坂 幸毅 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10272006)
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研究分担者 |
森長 真一 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (80568262)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 侵入種 / 温度適応 / 機能分化 |
研究概要 |
・稲作が始まった頃から国内で自生していると考えられている在来種タネツケバナと40年ほど前に日本に侵入したと考えられている侵入種ミチタネツケバナを材料とし、南北様々な場所の集団間で、温度適応にどのような変異があるかを調査した。 ・静岡から青森まで二つのラインにそって約50地点において両種の種子と親個体のサンプリングを行った。 親個体のサンプルからDNAを抽出し、RAD-seq解析によって遺伝子変異を調べる予定であったが、サンプルのDNAが激しく断片化しており、DNA抽出は断念せざるを得なかった。種子は親個体別にサンプルしなかったため種子をDNA解析に使うことができず、DNA抽出は次年度再挑戦することとなった。 ・温度適応の指標の一つとして、葉の凍結温度を測定した。種子から発芽した個体を20度で育成し、サンプルした葉をチューブに入れて温度を低下させ、凍結が起こる温度を測定した。在来種タネツケバナでは南北の集団間で温度適応能力が分化していると予想していたが、予想に反して凍結温度に南北緯度に依存した差は見られなかった。一方、侵入種ミチタネツケバナではどの集団も同様の温度適応能力をもつと予想していたが、こちらも予想に反して北の集団ほど凍結温度が低いという集団分化が見られた。ミチタネツケバナの集団間変異に関しては、侵入元が異なる、あるいは侵入後に急速に進化した、という二つの可能性が考えられ、今後DNA解析の結果と併せて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定では、初年度はDNA解析を行い、二年度めから温度適応の解析を行う予定であった。今年度はDNA解析に失敗したが、温度適応の解析を始めることができ、予定外の遅れと予定外の早まりがあり、両者が相殺していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
・親個体からDNAを抽出することは困難であると認められたため、改めて種子のサンプリングを行う。 ・今度は親個体別に種子を回収し、その種子のDNAを解析することで、集団内・集団間の遺伝的解析を行う。 ・温度適応については、凍結温度に加え、耐凍性、耐高温性など測定項目を増やし、温度適応の全貌を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度にDNA解析を行う予定であったが、収集したサンプルのDNAが断片化しており、解析は不可能と判断された。 再度植物サンプルを収集する。個体ではなく種子をサンプルし、新たに個体から発芽させることでDNA断片化が起きていないサンプルを得ることとした。サンプルからDNAを抽出し、RAD-Seq解析を行う。
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