本課題では,ウイルスの多様な系統の集団「亜型」の進化動態を,メタR0 という指標を用いて予測する理論を発展させた.また,多次元尺度法で埋め込また低次元空間上でのウイルス進化軌道についての理論的な研究を進展させたウイルス亜型の抗原進化の年次変化を(a)特定のウイルス株の流行,(b)宿主の集団免疫獲得によるウイルス株に対する適応度地形の変化,(c) 免疫エスケープ突然変異体の定着とその流行という3つのプロセスの連鎖で表現するマルコフモデルを構成し,進化軌道の直線性や方向転換の原因やその生起条件を理論的に解明するとともに,次年度流行タイプの予測をベイズ更新過程として表現した.
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